こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
モノに反射した光を目を通して脳で感じる。それが色である。
色が私達に与える影響は大きい。
色彩心理学では、色に対して無意識に生まれる感情を考える。
寝袋にも、そんな色彩の心理が使われていると思ったのだ。
今回は冬用寝袋やマットは暖色カラーが多いのには理由がある!って話をしていこう。
スポンサーリンク
色彩心理学
“色彩心理学”、と書くと少し堅苦しいかもしれない。
赤は太陽や炎を連想させるため、生命的な暖かさや力強さを感じさせる色。
青は水や氷を連想するため、冷たさや涼しさを感じさせる色。
使われる色によって心は動き、行動へと移っていく、簡単に書けばその程度の話だ。
少し深掘りしていくと、赤は目立ち行動力を活発化させるため商品タグは赤のほうが売れやすい。
オレンジは食欲促進効果があるから、飲食店で使うことで売上アップにつながるといったマーケティングや感情管理的な話が多かった。
ぼくの食欲が旺盛だとしたら、オレンジ好きが影響しているかもしれない。
目的に合わせて使い分けることで人の心を誘導できるのが色(色彩)なのだ。
スポンサーリンク
暖色と寒色
温度を感じさせる色がある。
暖色と寒色だ。
その間に中性色や白黒灰色といった無彩色もある。雪からか白は冷たく感じる色のようだ。
暖色は文字通り、赤やオレンジといった太陽に近い色であり、交感神経に働きかけるため暖かさを感じさせる。
青や水色が寒色で、副交感神経に作用することでリラックス効果があり、冷たさを感じさせるという。
実際に暖色を見続けたら体温が上昇し、寒色を見続けたら体温が下がったという実験もあるのだとか。
ホッカイロのパッケージは暖色の赤黄やオレンジが主体で、見るからに暖かそうだ。
赤黒いマグマは暖かいを通り越して火傷するほどに熱そうだとパッケージだけで連想させる。
色の持つ力は自然物に由来しているのだろう。自然由来なら地域性もあるのかもしれない。
熱さまシートには寒色が使われている。
熱の色である赤が青に変わっていく矢印は、自分の体温が冷えることを連想させてくれる。
私達が生活する周りでは意図的に多くの色が使われている。
スポンサーリンク
色彩心理学で見た寝具の色
色が感情や温度に作用することから寝具の色で睡眠の質が変わってくる。
布団を販売する数社の情報を元にまとめてみた。
寝具の色 | 効果 |
青系(寒色) 緑 茶色 ベージュ パステルカラー |
・心を落ち着かせる
・脈拍や体温が下がる ・筋肉を弛緩させる ・リラックス効果 |
赤(暖色) 紫 |
・脳を活発にする
・筋肉を緊張させる |
黒 |
・恐怖や不安から悪夢を見やすい
|
共通して彩度の低い青や緑、茶、ベージュのようなパステルカラーが睡眠に適していて、身体を落ち着かせ深い眠りへ誘う。
彩度の高いビビッドカラーほど赤のように脳を活性化させ睡眠に適さないとされている。
黒は恐怖心をあおりやすいようだが、あくまで個人差だろう。
ライトトーナス値
色に対する筋肉の緊張度合いを示すライトトーナス値なるものが存在する。
これは目隠し状態で色の付いた光を浴びたときの筋肉の反応を数値化したもので、皮膚が色を認識しているという実験によるものだ。
数値は低い青系ほど筋肉がゆるみ、高い赤や橙ほど強張る。脈拍や血圧にも影響するため睡眠に適さないというわけだ。
部屋が真っ暗で光ゼロなら関係なくない?とも思うわけだが、月夜ならライト無しでも明るい雪上のテント内を考えればあながち無視も出来ない数値だろう。
色で変わる体感温度
この記事を書くにあたり色彩心理学の本を数冊読んでみた。
ややスピリチュアル寄りで「あっ」と思うシーンもある一冊ではあったのだが。
「皮膚からも色を感じ取っている」のページに興味深い内容があった。
赤い部屋に入った人は、脈拍、呼吸数、血圧が上がって暑く感じ、青い部屋に入った人は、脈拍、呼吸数、血圧が下がって涼しく感じた、という結果が出ました。この実験での体感温度の差は、なんと3度!
引用元:幸運を引き寄せる 色の心理学 P16
スピリチュアルだと色眼鏡で見てしまってるのもあって「ほんまかいな」「エビデンスは?」と思ってもしまうのだが、プラシーボでも色で体感温度が変わるのは驚きだ。
暖色を基調とした部屋と寒色を基調とした部屋を比較すると、なんと体感温度の差は、おおむねプラスマイナス2℃!「実験を繰り返した結果、室温を20℃に設定した場合、暖色系の部屋は21℃程度、寒色系の部屋は19℃程度の体感温度を得られることがわかっています」
引用元:皮膚が色をキャッチする!?色をうまく取り入れて快眠できる寝室に|眠りのレシピ|ふとんなどの寝具なら西川公式サイト
色彩心理学の本同様に、布団の西川も色で体感温度は2℃変わると言っている。
だんだんと体温と信頼性が上がってきたのを感じる。
スポンサーリンク
寝袋の色
さて本題だ。
愛読書がアウトドアブランドのカタログで、複数ブランドのギア比較が趣味である。
ブランドに囚われない広い視点でギアを見ることで気付ける発見がいくつもある。
氷点下20度以下の北海道でキャンプをする私ですら購入を考えもしない、-30℃以下対応な極地用寝袋を調べていたときのことだ。
記事内でも書いているが、冬用の寝袋は暖色系が多かった。
-30℃以下に対応する21枚中暖色13枚(内赤9枚)という結果だった。
6割以上が暖色という、偶然ではありえない多さ。
極寒環境を意識してこの色を採用しているとぼくは考えている。
寝具的に赤は不適ですが、体感温度の上昇と、熟睡よりも適度に緊張状態を維持して眠ることを想定しているのかもしれない。
青を採用しているAEGISMAXやフェザードフレンズは元々青が多いブランドなため例外もあると言える。
暖色の次に黒が多いのも気になった。
雪山ハードシェルは濃い色ほど熱吸収が良いという話も聞いたことがあるのが、もしかしたら寝袋でもそうなのかもしれない。
ライトトーナス値的にも筋肉が緊張し、睡眠の質は落ちても体温は上げてくれるかもしれない。
多ブランド間で同じカテゴリを見ると平均的なモノが見える。
冬用の寝袋は暖色カラーを使うのが一般的というわけだ。
モンベルの寝袋
モンベルを例に見てみよう。
上が冬用で暖かく、下が夏用だ。
キレイに暖色寒色で分かれている。
夏~スリーシーズン用である#7,5,3は寒色と中性色。
氷点下を想定した#2,1,0,EXP.は全て暖色だ。
色彩心理学の色で感じる体感温度を考慮した色味に思える。
イスカの寝袋
イスカのエアドライトは少し違う結果だった。
夏~スリーシーズン用が寒色系なのは同じだがで、初冬用なエアドライト480が暖色の黄色なのは同じ。
しかし、真冬用のエアドライト670はベージュで、エアドライト860に至っては紫だ。
海外の調査では紫の寝具は最も睡眠時間が短かくなるというデータもある。寒色よりの中性色で温かみも少ない。
夏用エアドライト190と同じで生地を使いまわしてると言えばそれまでだが、不思議である。
720FPを使ったミドルグレードのコスパ・寝心地・保温力にこだわったダウンプラスシリーズでは暖色が出てきて嬉しかった。
イスカの中で最も暖かいデナリ1100(-30度対応)とデナリ900(-25度対応)は見るからに暖かい暖色レッドだ。
これまたライトトーナス値的には睡眠の質は低くなりそうだが、カタログ越しでも暖かさ伝わる色でもある。
スリーピングマットの色
余談だが、スリーピングマットも色に特徴があることに気付いた。
シートゥサミットによると氷点下の冷え込みなら、寒さに弱い人でR4.5以上、強い人でR3.5以上が推奨されている。
少し古いデータで申し訳ないが、ASTM F3340-18に準拠するエアマットの中でR4.5で絞り込んだ。
10モデル中4つが黒、3つが暖色、1つが銀、中性色が1つ、寒色が1つだった。
サーマレストの銀は体温反射するための工夫で納得できる。
暖色が多いのも納得だが、黒が多いのは寝袋暖色理論的に意外だった。
黒4つと言っても、黒を採用したブランドはEXPEDとSEA TO SUMMITだけである。
今のEXPEDは色味が黒緑になったが、以前は高R値順に黒赤青だった。
黒が太陽光を吸収しやすいのは周知だ。だから黒は熱を集めやすいのかなと思った。
体温の吸収や反射に対する効果はわからないが、マットを黒にするメリットはあるのだろうと思う。
冬用寝袋を暖色にしているモンベル新作で初の断熱綿入りマットは赤オレンジで、意識的な暖色のようだ。
私的結論
道具を色で選ぶ人も多いだろう。
「この色だから好き」と本人は考えているかもしれない。
色で道具の性能が変わってくる可能性も考えると、製造するメーカー側は色もその道具の性能の一つであると考えているように思えてくる。
好きな色で道具を買うことに異論はない。
しかし、その色の心理を理解することで私たちの好きのレベルは一段上に上がるはずだ。
キャンプで眠れない、睡眠の質が低い人は多いのではないだろうか。
寝袋やマットにかかわらず、テントや周囲のギアの色で睡眠の質が変わるかもしれない。
睡眠にこだわるアウトドアマンは色で眠りの質を上げるのも面白いだろう。
まとめ
好きなモノをもっと好きになるためには知ることが大事だと思ってます。
寝袋が大好きなぼくはもっと寝袋のことを知りたいのです。
好きでい続けるためにね。
スポンサーリンク
コメント