山に登るぼくらが知らない謎のウェア【マウンテンパーカー】のこと

マウンテンパーカとは 道具

こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!

君はマウンテンパーカーを知っているだろうか?

マンパと略されるあれのことだ。

登山ウェアをアウターに使う街着ファッションがあるらしい。

最近の話では無くずいぶん前からこの名前は聞いていた。

恥ずかしい話、なんとなくイメージ出来るが自信を持ってこれがそれがマウンテンパーカーと言い切ることができない。

日々、数多の山に登り続けている登山者であるぼくがだ。

今回はマウンテンパーカーって一体どんな服なんだ?、こんな服だろう、街着ならソフトシェルが良いな、という話をしていく。

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アウトドアマン目線での話

マウンテンパーカとは

様々なアウトドアウェアを着てきて所有しているが、一体どれがマウンテンパーカーかと問われるとぼくは答えられない。

アウトドアウェアを細分化出来てしまう中途半端な知識があるせいで「どのジャンルのウェアのことだろう」と考えてしまうからだろう。

ハードシェルなのか、レインウェアなのか、ソフトシェルなのか、ウィンドシェルなのか、インシュレーション(保温着)なのか、アクティブインサレーションやビレイパーカのように限定的なものか。

それとも全くの別物なのか、それがわからない。

 

・・・とふざけた導入をしてしまったが、ぼくだって人間社会を生きる一匹だ。

当然マウンテンパーカーというワードは聞いたことがあるし、何ならちょっとは知っている。

 

マウンテンパーカー イメージ

こういう服のことをマンパって言うんでしょう(笑)

形状やシルエット的にはアウターっぽい。レインかソフトシェル、もしかすると化繊中綿が入ってる可能性もある。

これはさらに深掘りする必要がありそうだ。

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マウンテンパーカーとは

具体的にマウンテンパーカーが何なのかを調べてみよう。

モンベル

出典:mont-bell

国内アウトドアブランドの中で最も種類が豊富と言えるモンベル。

アウトドアウェアなら大体出してる。オシャレさはないが信頼性の高いぼくらのモンベルだ。

しかし、オンラインショップ内のクロージングカテゴリの中にマウンテンパーカーというジャンルは存在しない。

まあわかる、アウトドアマンはマウンテンパーカーなんて言葉を使わないし、知らないからだ。

ZOZOTOWN

出典:ZOZOTOWN

国内最大級のファッションサイトであるZOZOタウンにはなんとマウンテンパーカーというカテゴリが存在していた。

2409件もある。すごい。

ジャケット/アウターの属するらしい。

UNIQLO/マウンテンパーカ

ユニクロにはなんとマウンテンパーカという製品名の服があった。

撥水加工、外ポケット4つ、裏地メッシュ、ポリ83%綿17%、というスペック。

今どき綿入りな時点でマウンテンを名乗るのが恥ずかしくなりそうなものだが、ポケットが4つもあるのはマウンテンパーカっぽい気がしてくる。

撥水加工のみで防水性はない、裏地メッシュはやや保温性と肌離れが良くなる。

登山ウェアで分類するなら秋春の厚手ウィンドシェルだろうか。ちなみに重量の記載はない。

シエラデザインズ/マウンテンパーカー

個人的にマウンテンパーカーと言われて真っ先に思い浮かぶのは、アメリカのシエラデザインズだ。

マウンテンパーカーという製品名で1968年から売られ続けている。

本国では廃盤になっているが、日本では売られているようだ。

「マウンテンパーカー」という言葉が初めて出てきた製品で、今使われるマウンテンパーカーをたどると行きつくのはこの製品のはず。

ただすでに意味も用途も変わっているため語源であっても別物であるはずだ。

 

60/40クロス(ロクヨンクロス)と呼ばれる綿60%ナイロン40%で織られた素材を使っているのが特長だ。

雨が降っても水分を含んだ綿が膨張し隙間を埋めて雨を防ぐ、というのが当時登山服として使われた理由のようである。はっきり言って高性能登山ウェアが多い現代では時代遅れとしか思えない。

数年前からキャンプでワンポールテントに使われる人気な素材TC(ポリコットン)も似た効果を持っている。

服的にはレインウェアのようにシャカシャカしないマットな質感は街着に受けそうだ。綿多めだから焚き火ウェアにもいいだろう。重いし濡れたら乾かないけどね。

THE NORTH FACE/マウンテンジャケット

名前がマウンテンパーカに似ていて、「おすすめマンパ〇選!」で紹介されることの多かったマウンテンジャケット。

150Dの2レイヤーゴアテックスで取り外し可能なスノーカフ(パウダーガード)付きで825gです。

ダブルジッパーで脇下ベンチレーション付き、なるほど、スキーウェアか冬山ハードシェルですね。

ゲレンデなら中綿が欲しいし、山用っぽいけど重すぎるしフロントファスナーやポケットのフラップも邪魔よね。

非効率な感じが街着っぽいね。

調べてみた

ブランドサイトで何となくわかってきた気がする。

さらに「マウンテンパーカー」「マウンテンパーカー おすすめ」辺りのワードで検索して片っ端から見てみた。

調べてみるとマウンテンパーカーとはこんな特徴がある。

フード付き

・登山用に作られた服

・アウター(一番外側に着る)ウェア

・(登山用だから)耐久性、防水性、撥水性、耐風性が高い(対候性)

・軽量コンパクトで携帯性に優れる

・ポケットが多い

・袖や裾を絞る機能がある

他にも保温性がある、一年を通して着れる、透湿性が高いなどがあったが他と相反するため外した。

まあ特徴的にレインウェアだろうなーと思う。

耐久性やポケットの数を重視するなら冬用ハードシェルかもしれないが、軽量コンパクトはややズレてくる。ただ昨今の軽量10-20Dの薄手レインだと強度的に少し違うような印象もある。

耐水性を省けばソフトシェルもあり得るし、ハード系のソフトシェルが一番それっぽい。

ウィンドシェルには袖や裾を絞る機能は無いモノも多い。

色んなサイトを見てみたが定義を断定できる要素は無かった。

Instagramで「#マウンテンパーカー」で調べるのはおすすめしない。女の子たちのファッションショー会場に時々ゴリゴリの男たちが混ざってるだけのタグだからだ。

ウィンドブレーカーとの違い

ウィンドブレーカー(ウィンドシェル)との違いを調べてる人が多いようで、その回答が面白かった。

■ウインドブレーカーとの違い

マウンテンパーカーと同じく、アウトドアシーンで使われることが多いジャケットにウインドブレーカーやレインウェアが挙げられます。

ウインドブレーカーは、名前の通り風を防ぐことが目的で、防風性や防寒性に優れたアイテムです。薄手でコンパクトなものが多く、体を動かしやすいため、スポーツシーンで防寒着として着用されることもあります。

機能的にはマウンテンパーカーと似ているウインドブレーカーですが、最も大きな特徴はフードの有無です。マウンテンパーカーはフード付きのジャケットですが、ウインドブレーカーはフードがないタイプの商品も多く販売されています。

引用元:Alpen Group Magazine/マウンテンパーカーとは? 普段使いにも便利なアイテムの選び方をご紹介

ウィンドブレーカーにはフード無しが多いからマウンテンパーカーではないようだ(笑)

他サイトではフードが付いたウィンドブレーカーはマウンテンパーカーであるとしている場所もあった。

逆に言えば、マウンテンパーカーにおいてフードは最も重要な要素であるとも読み取れる。

ほんとに意味がわからなくて面白い。服の見た目が全てというわけだ。

ファッションにおけるオシャレとは不便さと比例するという偏見の強い知識もあるし、見た目が重要なのがファッションであるはずだ。

機能性では無く、視覚的要素としてフードが重要なファクターなのだろう。

パーカーとフード

パーカー、パーカ(英語: Parka)は首の根元に頭を覆うフードが付いている衣類の日本における総称。

引用元:Wikipedia

ウィキには、パーカーとはフードの付いた衣類の総称と書いてある。

つまりマウンテンパーカーにフードが付いてるのは当たり前だし、付いて無ければマウンテンパーカーではないのは理にかなっている。

綴りがParkaだからパーカとパーカーが混在する。発音的にパーカーになりがちだが、どちらも間違いではないのだ。ユニクロはパーカが商品名だし、シエラデザインズはパーカーが商品名なのでそこは間違えてはいけない。

英語圏ではフード付き衣類をパーカーではなく、フーディやフーディーと呼ぶ。

登山的にはフーディーは薄手のフード付きシャツを想像しがちだ。

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【結論】マウンテンパーカーはおそらくこんなウェアだ

マウンテンパーカー完全に理解した。

結論付けるには「っぽい」がキーワードになるだろう。

一言でまとめると

フードがあるアウトドアっぽいアウターウェア(できれば防水)

これに尽きる。

 

マウンテンパーカーを紹介してる記事を見て感じたのが「NASAが宇宙服にも採用している」って言われるとすごそうでしょ?感だった。

これが、非アウトドアマンには「登山用だから高性能で寒い日も、雨の日も、雪の日も快適に過ごせそう!」になるのだろう。

特にアウトドアウェア以外で聞かない透湿性が強調されることも多く、ゴアテックスって言っとけば強そうでしょ?感も久しぶりに味わえた。

そう思うと、マウンテンパーカーとは一つの憧れなのかもしれない。

 

事実大きく間違ってはいないが、実際登山ウェアは一つのウェアに複数の性能は求めない。

アウターには耐水耐風といった対候性、中間着は保温、インナーは吸湿発汗のようにウェアを重ね着して複数の性能を得ることが多い。

アウターだけで見ても防水なのか、軽量なのか、耐風なのか、耐久なのか、ポケットの多さなのかで全く別用途のウェアになる。

“マウンテンパーカー”は、主語が大きすぎて防水で暖かくて軽量コンパクトで耐久性があってポケットも多いみたいな知らないから全部入りになってるような印象が強かった。

その特徴だけを見ればスキーウェアが一番マウンテンパーカーらしいウェアだと思う。

マウンテンパーカーの図解

マウンテンパーカと刃を図解

マウンテンパーカーがどこに属するかを図解するとこんな感じになるだろう。

大きくアウトドアブランドが作るアウトドアウェアがあって、その中の一部がマウンテンパーカーに属する

その一部の切り取りがやっかりでフード+ポケットの数なのか、防水性なのか、軽さなのかで人によって多少分類が分かれることもあるだろうが好きにしたらいい。

さらにユニクロやZOZOタウンに出店するようなアパレルブランドが「みんなこういうアウトドア風パーカーが好きなんでしょ?」と出したマウンテン風パーカーも含まれている。

そんな憧れと無知が生み出した幻想の具現化がマウンテンパーカーなのだろうとぼくは思った。

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まとめ

「マウンテンパーカー」という単語を使う登山者はまずいない。

そんな登山者がいれば間違いなく浅い知識しかないなんちゃってなアウトドアマンだろう。

もしあなたがマウンテンパーカーという言葉を常用しているなら、アウトドア用品店で店員に服を尋ねる時は使わないように注意したほうがいい。

何故なら我々はそんな服を知らないし、わからないからだ。

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コメント

  1. ヒレッジ より:

    アパレルメーカーのマウンテンパーカーって定義ホントいい加減ですね。
    更にハードシェルのおすすめサイトなんか、レインウェア紹介しちゃってる所散見するし
    ハードシェルとレインウェアの違いを知らないサイトも多いです。

    ちなみにノースのマウンテンジャケット、マウンテンライトジャケット オールマウンテンジャケット
    持ってますが、マウンテンライトはベンチレーションないので登山に不向き
    その分、身幅がゆったり目で重ね着しやすくZIPINシステム搭載で街着やバイク用ウェアやスキー向き
    身幅はXLで65センチ
    私は通勤やバイク用に使っています。

    オールマウンテンは一番登山向きの3レーヤーでCニット採用。残雪期までOK。
    これに滑落防止用のアンチグリース搭載してくれたら冬山もいけるのになあ
    モンベルはCニットにアンチグリース搭載しているのに。ゴールドウィン的には
    冬山はゴアプロ採用のハイブリッドシアアイスジャケット買ってねって差別化していますね。
    身幅はXLで63センチ 登山専用で使っていますが70Dなので、夏場はファイントラックとか
    モンベルのゴアテックスシェクドライとか薄い製品にしています。

    ぜつえんさんが紹介しているマウンテンジャケットは、かつてはゴアプロ採用で冬山用でしたが
    今はゴアテックスに素材がランクダウンしていますが、頑丈でベンチレーション搭載なので
    残雪期くらいまでは使えますね。何故か身幅が一番タイトでXLで62センチ
    アメリカのマウンテンジャケットやマウンテンライトは実は
    ゴアは廃止でフューチャーライト採用です。この間並行輸入品の実物見ましたわ。
    アメリカのノースのHP行くとゴア採用のウェアは皆無ですね。
    日本はゴールドウィンの意向でゴアとフューチャーライト併売しています。
    フューチャーライトはポリウレタンなので、加水分解嫌なので買いません。

    アパレルだと、バーバリーのゴム引きトレンチとか
    バブアーのオイルドジャケットとか高価で人気ですが
    ゴアテックの前では前時代的な防水技術でしかなくてなんだかなあと思います。
    一応1着づづ買ってみましたが、今では全く着ません。
    いまは東京では通勤でノースとかパタゴニアとかミレーとかアークとかのレインウェアやシェルを
    コート変わりに着ているサラリーマン多いので、アパレルメーカーは苦戦でしょうね。

    • ぜつえん ぜつえん より:

      ヒレッジ様
      アパレルメーカーは綿でも非防水でもお構いなしなそれっぽいマウンテンパーカーばかりてすね。
      ハードシェルっぽいほうがタウンユースには人気のように思いました。
      ノースのゴア廃止は言われてましたね。
      タフよりもライトなウェアが売れるんでしょうかね。

      • tossy より:

        はじめまして。
        今は山登りしてますが、昔はファッション一筋だった人間です。
        「マウンテンパーカー」と言えば、シエラデザインのロクヨンクロスを使ったアメリカ製の物が君臨しています。
        70年代ごろ日本入って来た「Made in U.S.A. catalog」とそれを紹介した雑誌POPEYEの影響で、シエラデザインやLLビーン等が、今でも懐古的な、古き良きアメリカ的ファッションを好む方々に支持されています。デニムは現行より古いリーバイスが好きみたいなものです。
        これらをローテク、最近のゴアテックスシェルなんかはハイテクと呼んでおり、「おれはゴアよりロクヨン派だ」と雑誌等で豪語する方もいます。
        そしてバックパックはグレゴリー(最近はミステリーランチも)、足元はダナーかビーンブーツになります。この趣向の人は、機能より歴史を語れることが重要です。
        アウターがシエラデザインやバブアーのキャンパーが、渋くて憧れると言われたりします。

        特に拘りのないファッション界では、あくまでファッションのジャンルの一つの「アウトドア」の中で、フード付きアウターでいいと思います。ただの流行のデザインの一つです。
        車でも、デザインだけは四駆、デザインだけはスポーツカーとか。こんな服着て働いている人がいないワークウエアみたいなものだと思います。

        • ぜつえん ぜつえん より:

          tossy様
          はじめまして。
          ファッション目線ではシエラデザインのマウンテンパーカーは大きな存在だったのを感じました。