こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
前情報が制限され、発表段階までリーク画像もなく怪しげに登場したJETBOIL STASH。
期待度で言えば、発売数時間前がピークだった気もします。
ジェットボイルと言えばな従来の一体型ではなく、クッカーとバーナーが分離したセット販売品でした。
日本でも数人の有名ライターさんが使用動画、記事を上げて楽しく見させていただきました。
今どきな軽量モデルで多くの人に刺さるであろうモデルで、ぼくの心にもぐっさりと刺さってます。
今回はジェットボイル スタッシュがどんな製品か、魅力は、セット販売の真意は一酸化炭素対策なのでは?という話をしていきます。
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JETBOIL STASH
クッカー+バーナーがセット販売なのがスタッシュ。
ただし、従来品のように連結する機構ではなく、あくまでクッカーとバーナー。
ジェットボイルシリーズ最軽量のセット重量200gなのがポイントです。
ジェットボイル スタッシュ | |
バーナー | |
重量 | 約60g |
出力 | 1134kcal/h |
クッカー | |
重量 | 約140g |
容量 | 800ml (0.8L) |
調理容量 | 500ml (0.5L) |
サイズ | Φ11.2cm×13cm |
沸騰速度 | 2分30秒(0.5L) |
付属品 |
スタビライザー
バーナースタッフバッグ 小物入れ缶 |
火力はジェットボイルジップと同じで低め、容量はジップ・マイクロモと同じです。
沸騰時間からも性能的に一番近いのはジップでしょう。構造が違うので比べるのもおかしいですが。
着火装置は無くして軽量化。レギュレーターも無く、暖かい時期に向いているモデルです。
あとオシャレな110OD缶サイズの小物入れ缶がついてくるんですよ。すごいすき。ほしい。
口径はミニモ(Φ12.7cm)より小さく、ジップ(Φ10.4cm)より広めで、中間サイズなスタッシュ(Φ11.2cm)。
クッカー下部についた熱効率を上げるフラックスリングが今までのモデルよりもコンパクトになっているため大きく軽量コンパクト化ができているようです。
3本五徳でチタンヘッドのバーナーには切れ込みが入り、クッカーとズレ防止できる仕様です。
スタッシュに対して、ぼくの感想は4つあります。
・一体型ジェットボイルとは用途が違う
・吸熱フィンへの一酸化炭素対策への答え
・軽量×熱効率が超優秀
・欲しい
一体型との用途の違い
ジェットボイルの代名詞であるバーナーとクッカーが一体化したあの縦長な形状。
逆に言えば、スタッシュにジェットボイルらしさは薄く「ジェットボイル持ってるよ」マウントが取りにくい気がする地味さです。
それぞれメリットデメリットが変わってくるため、そもそも用途が違うという認識です。
スタッシュは、日帰り登山や軽量系宿泊登山者に向いたバーナーだと思います。
湯沸かしだけでなく、口が広いのでラーメンやパスタなども作りやすく、一体型ほど尖ってない万人向けモデルだと思います。
ただ万人向けと言うには少し高い(税込み19250円)のは欠点。→税込み19800円に値上げ(2022年)
吸熱フィンの一酸化炭素対策
ジェットボイルはフラックスリングと、MSRやFire-Mapleがヒートエクスチェンジャーと呼ぶ熱交換器。吸熱フィン、集熱フィンとも呼ばれ、きっとどれかが商標だったりするんでしょう、ぼくはまとめてヒートエクスチェンジャーと呼んでいます。
ジェットボイルが発明したものですが、他社(プリムス・MSR等)も使っており、本拠地アメリカではプリムスなどに対して訴訟も起きてるようです。
燃料の有限なアウトドアシーンでバーナーの炎を効率良く取り込み、短時間で水を沸かせる画期的な構造です。
そのヒートエクスチェンジャー付きクッカーの欠点は一酸化炭素の出しやすい事です。
無味無臭でテント内の上部にたまり、気付いたときには手遅れで、冬キャンプの事故として毎年ニュースになるあの一酸化炭素です。
以前、ムラコが出したヒートエクスチェンジャー付きケトルとクッカーが一酸化炭素問題で回収になったこともありました。
→RAPID BOIL KETTLE/POT回収についてのお知らせ
バーナーとヒートエクスチェンジャー付きクッカーの相性で向き不向きが大きいようで、相性により一酸化炭素の排出量が増えるようです。
そのためイワタニプリムスは、ヒートエクスチェンジャー付きクッカーと合わせて使わないようにとアナウンスを流しています。
→IWATANI-PRIMUS/プリムスこんろを他社製の吸熱フィン付きの鍋やこれに類似する鍋、やかん(ケトル)などと組み合わせ使用することは避けてください。
→IWATANI-PRIMUS/安全のために(一酸化炭素を多量に発生させる鍋やケトルにご注意ください)
ではジェットボイルの一体型モデルやスタッシュはどうなのか?一酸化炭素の問題はないのか?
通常のクッカー×バーナーの組み合わせに比べ、一酸化炭素の量は確実に多いですが、販売できてるモノは量が少なめ、のようです。
そして、この問題を解決するアイディアの一つとして、バーナーとクッカーをセットで販売するという手段を取っているのがジェットボイルなのかなと思ってます。
一体型はもちろんのこと、非一体型であるスタッシュも専用のバーナーとクッカーを合わせることで一酸化炭素を出にくい組み合わせで小型化したのではないでしょうか。
一体型ではなく、クッカーとバーナーに分けるメリットはおそらく小型化と別クッカーも使いやすい汎用性かなと。僕はそう思ってます。
一体型ではないヒートエクスチェンジャー付きクッカーを安全に出すならバーナーもセットであるのが確実なのかなということです。
軽量×熱効率
というわけで一体型よりも小型に仕上げられたスタッシュ。
一体型のジェットボイルの欠点であったデカイ・重いを解消できてるわけです。
写真の形状でクッカーに収納することができます。隙間にウェットティッシュとか、ガス缶の裏にライターも入れれそう。
「ジェットボイル欲しいな、でも重いし実物見たら結構大きい」と思っていた客層が選びやすい高熱効率+軽量コンパクトなクッカーセットだと思います。
ジェットボイルの宣伝で見かける「2分30秒沸騰高速奴~!」みたいなやつ、正直なとこ注目ポイントはそこではないんですよ。
本当の魅力は、110缶にある絵の通りなら新品で500mlのお湯を24回沸かせるという異常なまでの熱効率の良さであり、燃料に対する沸騰回数(燃料当たりのパフォーマンス→燃パ)なのです。
缶には500mlを24回。公式ページでは約10~12Lと記載されています。
長期縦走登山の場合
朝 | 昼 | 晩 | 1日 | |
食事 | アルファ米×2 コーヒー |
アルファ米×2 コーヒー |
アルファ米×2 コーヒー |
アルファ米×6 コーヒー×3 |
お湯 | 160×2+180=500ml | 160×2+180=500ml | 160×2+180=500ml | 1500ml |
例えば、1日朝昼晩と1回2食づつアルファ米(お湯160ml必要×2食=約320ml)を食べて、コーヒーも一杯(約180ml)飲むとするじゃないですか。
すると1食500mlのお湯が必要で、1日3回1500mlのお湯を沸かします。
この生活を約8日続けれるのがジェットボイルであり、ジェットボイル110缶なのです。
つまりは、8日間の長期縦走で110缶(約200g)1つで臨めるというんだから、すごくないですかこれ。
夏のテント泊登山をするなら、スタッシュ200g+110缶200g=400gのセットがあれば数日間の宿泊登山に対応できるわけで。
そう考えれば難しくバーナーとかクッカーとか選んで買うよりも2万円ポーンと出してスタッシュを買ってしまえばいいのではと思ってしまいます。
「北アルプスで夏山テント泊デビューしたいんですー」って言われたらぼくならスタッシュオススメしちゃうなあとそういうことです。
というのがジェットボイル スタッシュの最大の魅力だと思っています。
110缶と書いてますが、ジェットボイルは内容量的に100缶なのは110缶と呼ぶ癖からです。
純正クッカー以外では微妙
燃費が良いと言ってもそれは専用クッカーとバーナーがセットのときに限った話です。
他のクッカーと合わせてスタッシュバーナーを使う場合では、火力の低いバーナーにしかなり得ません。
1134kcal/hは相当に低い火力で、他社で2000kcal/h以下のシングルバーナーというのは思いつかないレベルです。
チタンマグカップで湯を沸かすとか、フライパンでウインナーを炒める程度ならできますが、他のクッカーと合わせて使うことを考えるなら別のバーナーを用意したほうが明らかに効率的。
この800mlクッカー専用バーナーと考えると一体型のジェットボイルと近い考え方になりますが、やはりやや尖った用途の道具だと言えます。
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日帰り登山でも良い
「いや、私は日帰り登山しかしないんです。食べるのもカップラーメンとコーヒーくらいで」
みたいな日帰り登山者でスタッシュ欲しい人も多いことでしょう。ええわたしもほしいですよ。
ぼくは日帰りではアルパインサーモボトルを使うことが多く、あまりバーナーを持ち歩きませんが、日帰りメインの方はバーナーを持って登る方も多いでしょう。
そんな方はさっと素早く沸かせるスタッシュは便利。
ジェットボイルが欲しくなる日帰り登山者は、複数人で登った時にその真価に気付くようです。
ぼくがショップ店員としてジェットボイルを販売する中で多かったのが、
「この前さー、一緒に登った人がジェットボイル使っててさ、すっごいお湯沸くの早いんだね。俺がお湯沸かし終えたころにはその人食べ終わってたよー」
とお店にきて、種類の違いを説明したらそのまま買っていった。ということが多々ありました。
山頂でご飯を食べる時に友人なら急かされたりもしないでしょうが、食べ終わって待たせるのも気持ちいいモノではないでしょう。
何より登山者の物欲を刺激する早いとわかってても、それでも驚くほどの沸騰スピードは多くの人を魅了します。
友人と登山、そんなときにジェットボイル スタッシュを使えば軽量コンパクトな上に爆速沸騰で同行者の心もぐっつぐつに沸かして、ジェットボイル信者を増やすことができて一石二鳥。
逆にソロでなら沸騰の速さの魅力は薄くなります。急いでるわけでもないですからね。
そういう意味では日帰りなら、ソロ登山者よりも複数人で登ることが多い人にオススメなジェットボイルです。
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他バーナーとの比較
軽量なOD缶シングルバーナーと比較した表。
60gは軽量ではありますが、決して最軽量というわけではありません。
また火力は最低。値段も高め。
専用クッカーと合わせて使うことで魅力のあるバーナーで有り、限定的な環境下でのみ他のバーナーよりも優れた沸騰速度、ガス燃費を得られるのがスタッシュです。
必ずしも優れてるわけではなく、用途は限定的で1つのバーナーで四季のキャンプ登山とあらゆるシチュエーションで事を足らしたい人には向かないバーナーと言えます。
購入前に自分の使い方、食事スタイルを考え直す必要はあるでしょう。
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まとめ
実はこれ、別記事の前書き部分だったんですよ。
内容が膨れ上がってしまい、あ、これ単体記事ですわーという感じに笑
そのため今更なスタッシュ紹介でした。
ジェットボイルの速度ではなく沸騰回数のとことか、ジェットボイル買ってく登山者の話とか別の記事の本題だったりします。
モンベル2021年カタログ紹介もどうぞ!
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コメント
みちのく潮風トレイルを歩き始めたとき、旅の途中で調理しながら歩くこともあるかもしれないなあと、SOTOのセットを持ち歩きました。でも、実際に食べたのは、フリーズドライが中心でした。そんな時に、スタッシュが発売に。もしかして、自分のスタイルには、スタッシュがあうのではと、発売と同時に購入。それ以降は、スタッシュを持ち歩いています。ぜつえんさんのおっしゃるとおり、用途は限定的ではありますが、その使い方をしたときには、今までにはないすばらしさを実感しています。なにしろ、ガス缶の消費量が激減。それに加え、自作のコジーでの保温調理。荷物の軽量化にもつながりました。ロングトレイルにおいてのULにはうってつけだと思います。逆に、いろいろやりたい方には不向きではありますが。
appleberry様
スタッシュはロングトレイルハイカー向きなバーナーセットだと思ってましたが、実際に良かった話を聞くと欲しくなってしまいますね。
限定的な用途も、自分の食事をバーナーに寄せてくことで使い勝手が増すと思います。
実際に歩きながら自分に合う道具、食事を模索していくのが軽量化の魅力なのでしょうね。
楽しそうな遊び方をされていて羨ましいです!今後ともよろしくお願いします。