こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
寝袋やダウンジャケットってすごい暖かいですよね。
でもあれってダウンが発熱しているわけでもないですし、化繊が発熱しているわけでもないんです。
ではどうしてダウンや化繊の中綿素材はあんなに暖かいのでしょうか?
その暖かさの理由はデッドエア(動かない空気)にあります。
今回は熱伝導率の話、暖かさの決め手である「デッドエア」が何なのか、デッドエアを図解、アウトドアで使われるデッドエアのことを紹介していきます。
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熱伝導率
デッドエアの前にちょっと寄り道でお勉強会。
熱伝導→高温側から→低温側へ熱が伝わる現象のこと。
そして熱伝導率は熱伝導のしやすさを表した数値です。
素材ごとに熱の伝わりやすさ(熱伝導率)は変わってきます。
表の数値が高いほど熱伝導率が高く、伝導しやすい素材。低いほど熱が伝わりにくい素材です。どちらが良いというものではありません。
よく銅ケトルは沸きが早いというのはこの熱伝導率の高さです。
そして注目は空気の熱伝導率の低さ。
0.0241という桁違いな低さで、ほとんど熱が伝わりません。熱伝導率の低さは断熱力の高さでもあります。
空気は最高の断熱素材なのです。
真空ダブルウォールマグカップは金属と金属の間に空気を閉じ込めることで断熱力をあげています。そのため外気温に左右されることがなくなるのです。
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デッドエアとは
デッドエア(Dead Air)は「動かない空気」のことを言います。
熱伝導率の話で空気は最高の断熱素材でした。しかしここには条件があります。
それは動かない(対流しない)空気であることです。それがデッドエアなのです。
そう、空気の熱伝導率の低さを活かせる、デッドエアが最高の断熱材なのです。
真空ダブルウォールマグは真空にすることで対流しない空気を作り出して断熱材としています。
これは寝袋やウェアにも活用されています。さらに書いていきます。
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デッドエアを図解
登山ではアウター、ミドル、アンダーの3層レイヤリングが基本です。
外気を遮断するアウター、熱を保持するミドル、汗を吸い上げ乾燥させるアンダーと別々の役割を持っています。
これは汗冷え対策や雨風対策であり、効率的にデッドエアを作るための方法なのです。
注目するのはミドル層、ここはフリースやダウンや化繊ジャケットになります。
ダウン(羽毛)の特性は天然素材の中で最高の軽さと膨らみです。そしてダウンは空気を含むことで膨らみます。
そして膨らんでできる空気の層を温め維持することで最高の断熱素材となるのです。
そのダウンを温める熱源は人間の体温です。
ダウン内の温めた空気を対流させないために外にアウタージャケットを着たり、ダウンの外生地を耐風性の高いモノにすることでより強固なデッドエアを作り出すことができるのです。
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アウトドア製品のデッドエア
ダウンと化繊のデッドエア
ダウンと化繊どっちがいいの?という話は寝袋やウェアでずっとされ続けています。
これに正解は無いように思います。
ダウンは水鳥から取る天然素材で品質があがるほど重量辺りの膨らみが良くなります。また圧縮率(小さくなる)と復元率(元の膨らみに戻る)が高いのも特徴です。
ダウンはダウンボールという羽毛の塊が空気を含んでふわふわに膨らむことで、多くのデッドエアを作り出します。ダウンジャケット着るとモコモコになるのもこの特性からです。
しかし水に濡れたり皮脂汚れするとダウンボールが纏まってしまい膨らまなくなり、保温力が激落ちしてしまいます。その対策としてアウターウェアやシュラフカバー、防水生地のダウン、撥水ダウンが存在します。
化繊(化学繊維)はメーカー差がありすぎるため一概に言えませんがポリエステルメインに加工した素材です。
最新技術で効率的に空気を含むことでデッドエアを作り出し断熱することを目的としています。ダウンと違って素材単体で膨らむことができ保水してもつぶれることがないため保温力が激落ちすることはありません。
太さの違う中空糸を使ったり、シート状の層にして断熱層を作り出したりと各社工夫した素材を作り出しています。
ダウンは保温力特化なのに比べ、化繊中綿はメンテナンスの容易さ・濡れへの強さ・速乾性・通気性の高さなど保温力以外を売りにしているモノも多いのが特徴です。
インサレーション(断熱材)ウェアと呼ばれるものが一般的ですが、最近ではアクティブインサレーションウェアと呼ばれる保温力以外に強みを持たせたモノも人気です。
寝袋
寝袋は化繊・ダウン変わらず濡れを気にするとき以外は単体で使うことが多いです。
ウェアと違うのは寝袋はテント内で使うことが多く、風を受けることが少ないことです。
そのためアウター層がなく寝袋単体使用でも作ったデッドエアを維持しやすいです。
一つ気を付けなければいけないのはしっかりと体温を寝袋に移す必要があることです。
寝袋内で厚着しすぎると体温がウェアまでしか移らず、寝袋の中綿を温めにくくなってしまいます。
特にアウターに使われるレインウェアなどは熱を遮断してしまい、寝袋内で着るのに向いていません。
ただ寝袋内を温めるのは体温にこだわる必要もなく、湯たんぽやカイロを使って寝袋の中綿を保温するのは効果的です。
スリーピングマットマット
マットは地面の凸凹を抑えるだけでなく、床冷え防止の役割もあります。
もしマット無しで寝ると自分の体温が冷たい地面へ熱伝導して体温を奪われて冷えてしまいます。
マットは種類よりの熱伝導を抑える抵抗力が異なり、その数値がR値(R-value)です。
R値は断熱材入りのエアマットが高いです。断熱材としてはダウンやプリマロフトといった中綿素材や熱反射板を入れることで体温→地面の熱伝導を抑え、体温をマットで反射させ再び体温を保温する工夫がされています。
空気が断熱材になるなら断熱材の入ってないエアマットで十分なんじゃない?と思いますが、エアのみのマットでは上に乗って寝た時に中の空気が対流してしまいデッドエアにならないのです。
対流することでエアマット内の空気の温度は下がり、接している体温を奪ってしまうのです。
インフレータブルマットは厚みはありませんが、ウレタンフォームが入ってるので対流がしにくくなり春秋なら対応可能なR値になっているものが多いです。
他
アウトドアで保温の基本はデッドエアです。
フリースやウールのアンダーウェアや靴下も捻じれたループ状の生地(パイル生地)にすることで空気を含みデッドエアを作り出しています。
夏用冬用のフリースやアンダーウェアはパイルが厚いか薄いかで空気量が変わり保温力が変わるのです。
ダブルウォールテントが暖かいのも、スカートのついたテントが暖かいのも、簡易的なデッドエアができることからです。
まとめ
普段意識することはありませんが、断熱と保温はデッドエアによるものが大きいです。
意識はしなくても知ってる知らないでは適切なウェアのレイヤリング(重ね着)や寝袋内での寝方も変わってきます。
周りにはいろんなデッドエアがあります。たまにはそんな目線でモノを見てみるのも面白いですよ。
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