こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
“ソロテント”とひっくるめて言うと種類が多すぎて理解が及びません。
多すぎるので「自立非自立」「シングルorダブルウォール」「3or4シーズン」と細分化して自分に合ったものを探すのがベスト。
ソロテントの中でもポールの構造に注目してテントを種類分けすることにしました。
それぞれの形にした意味があってそれぞれの特徴があるわけです。
今回はドームテントのポール構造による特徴とメリットデメリット、その構造のテントを紹介していきます。
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ポール構造とは・・・
自立型が11種類、半自立が3種類、非自立が1種類で計15種類のソロ用ドームテントのポール構造を紹介していきます。(画像は16個ありますが、I型は特殊なので省きました)
上の画像は真上から見下ろしたときのポール構造です。わかりにくいものもありますがなんとなく理解してください。
双YやYリッジなど構造の名称はメジャーな呼び方ではありません。人前で話すときに「あーそのテント、Xキャノピー縦型じゃん」とか人に言っても伝わらず恥ずかしい思いするはずなのでお気を付けください。
ワード説明
頻出ワードの意味を説明を。
居住性=主にテント内外(前室)の広さと快適性のこと。フロア面積よりも容積が重要な項目。同じフロア面積でも側面が反り上がっている構造ほど居住性が高くなる。
リッジポール=テント上部につける短いポールのこと。長辺側の側面を垂直に立ち上がらせ居住性向上のキーアイテム。リッジ(尾根)にあるポール。
耐風性=強風に吹かれたときに耐えやすいポール構造かどうか。地面につくポールの数が多いほど風に強い傾向にある。
対候性=風、雨、雪など天候に対する強度。悪天候を想定したテントかどうか。対候性が高い→重くなりがち。
短辺・長辺出入口=長方形のテントに対して、短辺・長辺のどちらに入口がついているか。一般的には短辺出入口だと耐風性が高く省スペースで設営可能。長辺出入口は出入がしやすく前室が広くなる。
では順番に15種類のポール構造+αを特徴と、実際にその構造のテントを上げながら話していきます。
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X
テントでイメージしやすいのがX(クロスポール)型のテントでしょう。
シンプルにして頂点な構造で、四点が地面に付き、中央で交差と強度で見ればトップクラスです。
そのため山岳用テントは特にこの形状が多く、その中に短辺長辺出入口やスリーブ吊り下げ式の違いが出てきます。ぼくが使っているプロモンテVL25もX型。
ある意味で完成された形とも言えます。
短辺面は耐風性が高く、長辺面は風に弱めとなります。
より強風が想定されるシーンでは、短辺出入口が理想であり、長辺面の中央に張り縄が着けられるモデルがベストです。
2本のポールのみとシンプルですが、それ故にシンプルの中で差を出すために各社は工夫をこなしています。
交差する中央をスウィベルハブでつなげ2本のポール一体型で分離しないようにしたり、ポールを滑りにくいように滑り止めをつけたり、半分スリーブ式で半分吊り下げ式にしたりと様々です。
定番でシンプルなので癖が少なく誰でも簡単に使えること、同じポールの長さが2本なので破損しても修理がしやすく、別売りポールがあればそれで対応しやすいのもメリットでしょう。
X型のデメリットを上げるならテント内中心が一番高くなり、壁側になるほど低くなり狭くなっていくことです。
そのため中心に近い位置以外では座れる場所が少なく、短辺出入口のテントなら入口付近も低く出入口がし辛くなります。
X型のテント
プロモンテ/VL26
ぼくが使っているVL25のモデルチェンジしたVL27。
細かく調整がされ、軽量化と使い勝手が良くなっています。特にポールとフライを繋ぐところが紐→ベルクロになったのがやっとか、という思いです。
山岳用定番モデルで1.55kgとまあ軽量。国産で夏山始めた人がそのまま冬山にも使えるオールシーズン対応テントなのが魅力でしょう。
ヘリテイジ/クロスオーバードーム 2G
シングルウォールで自立式は特にX型が多いです。シンプル+高強度+軽量性を重視した形状です。
さらに吊り下げ、スリーブ、テント内ポールなどポールの通し方は様々。
フライが撥水生地か防水生地かでも特徴、用途は大きく変わります。
ヘリテイジの第二世代、クロスオーバードーム2Gは軽量性極ぶりで約630g。
シングルウォールの結露しやすい欠点を解消すべく、通気性と耐水性が向上しています。
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Xリッジ
X型テントの上部にリッジポールを追加した居住性重視のX型テント。
X型テントのデメリットである上部の狭さを解消するためのアイディアです。
リッジポールはスウィベルハブでクロスポールとひとまとまりになっている場合や単体で独立してる場合があり、フライシートの内側で固定することが多いです。
そして前室の床面積は変わらずに上部を高く広くすることができるメリットもあります。
デメリットはポールが1本増えるのでX型よりも重くなること、フライシートの内側で固定するのが手間で設営撤収にかかる時間が増えること、わずかにですがテントが広くなる分インナーテントとフライシートの生地面積が増えて重くなることです。
そのためテント内で過ごす時間の長いキャンプや悪天候登山には非常に有効な形状です。
逆に軽量化したい登山やテント内で過ごす時間の短い長距離ツーリングではX型にするのもありでしょう。
Xリッジ型のテント
MSR/ゾイック
新作MSRのゾイックがXリッジ型。
総重量2190gとちょっと重めですがフライ40D、フロア70Dのタフさで軽量性より頑丈性に振った長く使える相棒になってくれるテント。
フルメッシュを採用し、エリクサーとハバハバの中間グレードな夏キャンプ用です。
不名誉ながら加水分解で有名なMSRのテント。従来のコーティングの3倍長持ちするエクストリームシールドシステムを採用し、シームテープなしでの防水裁縫も採用しているため経年劣化が格段にしにくくなっています。
THE NORTH FACE/マウンテンショット1
ノースのテント!って思うとオシャレかキャンプ系かと思ってしまいますが、考え抜かれた山岳用のマウンテンショット。1型で1270gと実用性の高い重量で4シーズン対応。
Xリッジながら、リッジがポールの交点からズレています。
半分がスリーブ式、半分が吊り下げ式のハイブリット型なのもレア。MSRのアドバンスプロ2が同形状シングルウォール。
後室側のジッパーが下部に一本分しかなく、荷物置き専門にしているのを初めてみたときは声が出ました。
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Xキャノピー縦
X型の短辺(縦)にキャノピー(ひさし)をつけた形状。X型の派生ですね。
短辺出入口のテントの入り口側にポールを追加して前室の広さを求めたテントです。
Xリッジはテント内を広くする目的のポールでしたが、Xキャノピー型の前室を重視したわけです。
ネイチャーハイクのCirusはX部分よりも高くせり出したキャノピーポールを使用してます。
X型短辺出入口のデメリットである前室の狭さと出入口の狭さ、低さを解消してくれています。また画像ではわかりにくいですがフロアサイズが入り口側を広く、テントに奥を狭くしてより出入りをしやすい作りになっています。
キャノピー型は前室サイズ重視のため止めるペグも2ヶ所にすることで台形型の前室にしています。そうすることで三角形の前室よりも格段に広くなります。
短辺出入口のメリットである、狭いスペースに張りやすい、耐風性が高いなどとキャノピーの前室が広いメリットを同時に活かせるためツーリングやソロキャンプ向きの形状なテントと言えます。
Xキャノピー縦型のテント
ネイチャーハイク/Cirus
Cirusは1776gで居住性重視のツーリングテント。
入口側135cm、奥が110cmの台形型で頭を入口側にして寝るときに狭くても気にならない足元は狭く、入口や頭周りは広く快適にしています。
入口のキャノピーポール部分が110cmと高いので出入りや座って前室での調理もしやすいのが魅力。
ニーモ/クナイ
ニーモクナイはモデルチェンジ。
重量1710g。
軽さよりも強度を重視したモデルで冬山まで対応。その分しっかりしたポールと生地を使っているので少し重め。ただ山岳用で4シーズン対応でダブルウォールと思えば重くもない分類。
Cirus同様に入口側の幅が広い台形型で、入口上の生地を引っ張ることでテント内を広くしています。
Cirusとの違いはキャノピーポールが地面までついていないことです。地面までないので短く少し軽量になっているのでしょう。
強度と居住性を求めながらも軽量性も捨てきらない山岳用らしいテントです。何よりカッコイイ。
Xキャノピー横
Xキャノピーの横(長辺)出入口バージョン。
こちらも縦型と同じく前室を大きく取るための構造ですが、 元々長辺出入口は前室が広いためキャノピーポールを追加することでの広がりは圧倒的です。
その分ポール総長も増えるため、登山よりはキャンプやツーリング向き。圧倒的に広い前室はバイクや自転車を入れることが可能なモデルも存在します。
有名どこはコールマンのツーリングドームです。
Xキャノピー縦と違うのはインナーテントサイズはほとんど変わらないことです。
独立したインナーテント+キャノピーポール+大きなフライシート=Xキャノピー横型となります。
またキャノピーポールが地面につく位置によって前室サイズが大きく変わります。
モンベルのクロノスキャビンはクロスポールと同じ位置にポールがくることでX型テントに前室をさらに追加したような構造です。
インナーテントよりも高いキャノピーポールにより驚くほど広い前室サイズになるのがXキャノピー横の特徴です。
そして前室を作るポールはやはり2本で縦型以上に大きな前室になり、ポップアップポールを追加することで簡易タープとして使用できるのも特徴です。
キャンプ用途な強固な生地(70Dとか)で重いテントが多いこと。そのため軽量なXキャノピー横型のテントは希少。
用途はツーリングや荷物の多いソロキャンプ、テントサイズによってはデュオキャンプ用でしょう。広い前室は雨の日も快適に出入りができるため悪天候時のキャンプでも活躍してくれます。
変わり種として、双Yリッジ+横キャノピーなんてモデルもあります。
Xキャノピー横型のテント
コールマン/ツーリングドーム
大定番ツーリングドームST。Amazon限定オリーブとアッシュカラーも増えて依然変わらず大人気テントです。
値段も安く、車でキャンプを始めるならオススメしたいテントです。
4.4kgと重く、グラスファイバーポールなのがデメリットですがこの値段、サイズなら満足度は高め。アルミポールに変えて軽量化する猛者もいます。
ニーモ/ダガーリッジ ポーチ 2P
ニーモの2021新作。
バイクパッキングやキャンプ用途して圧倒的すぎる前室を持ったモデルで、双Yリッジ+横キャノピーです。
キャノピーポイントも本体ポールとは離れた位置で広すぎる前室を作る役割を果たしてます。
2人用で2710gですが、タープを削れて自転車を前室に入れれるサイズは唯一無二。
*
*(アスタリスク)型。文字の見た目通り3本のポールを使ったテントでX形に強度と居住性を追加したテントです。
Xリッジに似ていますが、X型+リッジではなく、同じ長さのポールを3本使った形状で六角形のテントになります。
ネイチャーハイクのCloudPeakはフライシートも吊り下げ式の*型です。
インナーテントは長方形ですが、フライシートがペグなしで六角形になります。
*型は積雪と強風を想定した構造で、積雪時に雪の重さで前室がつぶれない、X型以上の隙のない圧倒的な耐風性が特徴です。
そのため雪山登山、冬キャンプ、稜線での爆風テント泊登山で活躍してくれるテントです。エクストリームなシチュエーション向けの対候性特化テントですね。
デメリットは長いポールが増える分の重量増加、生地にも強度を求められるためさらに重く、そして高強度なポールと生地のため高額なモノが多いです。
*型のテント
ネイチャーハイク/CloudPeak2
CloudPeak2、2160gとソロテントにしては重めですが、ポール本数の多さ、対候性特化モデルと考えれば妥当なとこです。
またフライシートも吊り下げるポール構造のため悪天候時にインナーテントを濡らさずに設営撤収することが可能です。
ヒルバーグ/ソウロ
エクストリームな対候性を誇るヒルバーグの*型。
その中でも最安な1人用のソウロ(10万円越え)は重量2.4kgです。
ヒルバーグは構造的にもそうですがどんな環境下でも安心して寝れるテントで、高品質のポールを極太で使い、ありえんほど高強度な生地を使って作った最高品質のテントです。結果値段が高いわけです。
相性はありますが買って後悔するようなテントではないのは確実です。
ソウロレビュー→ヒルバーグソウロを建ててわかった、最強のテントと言われる理由!
双Y
ぼくは双Y型と呼んでいますが一般的な呼称ではないと思われます。ダブルY字型とも呼ばれるようです。
X形に比べ、ポールの総長を短くでき軽量化しやすいのがメリット。
基本的にすべてのポールがひとまとまりでハブを使って左右に二股でY字のポール構造になります。
アメリカのテントブランドに多く見られる構造です。
同じ双Y型でも短辺・長辺出入口で特徴は大きくことなります。
ネイチャーハイクの一番人気CloudUp2は短辺出入口の双Y型。
入口側のYは高めに、奥のYは短く低くすることで広い入口にしています。入口側のYの交点がX型の交点よりも低い位置で反り立つようにできため、同じ短辺出入口のX型よりも出入りがしやすくなります。
横出入口の双Y型は基本的に左右対称ですが、ネイチャーハイクのCyclingテントは片側を高くし、そちらに出入口を配置することで入口周りを広くしています。
X型に比べポールの総距離が短くできて軽量に作れる双Y型、軽さがメリットです。またYになる左右の端を広く作りやすいのも特徴。
デメリットはテント中心上部の幅が狭く居住性が低いこと。X型だと頂点で交差するので広くなりますが、双Y型は頂点が1本のポールしかないので非常に狭いです。
実際にテントに入って座ると左右の壁が迫ってきていて圧迫感を感じると思います。
居住性よりも軽量性を取ったULテントと言えるでしょう。
そのため用途は軽量性重視にしたいテント泊登山、自転車ツーリング、バックパックキャンプです。
双Y型のテント
MOBI GARDEN/LIGHT WINGS DAC UL1
中国モビガーデンの山岳用ダブルウォール自立式テントLIGHT WINGS DAC UL1です。
重量1215gと軽量で、フライ吊り下げ式で素早い設営と雨天時でもインナーを濡らさずに設営できるのが魅力。
製品名の通りDACポール採用しながら非常に安価。なにより赤さがドストライクで好き。
非メッシュインナー生地を使った日本山岳仕様の青バージョンも登場しています。
ネイチャーハイク/CloudUp2
ネイチャーハイクのCloudUp2が短辺出入口の双Y型。ちなみに後述しますがCloudUp1はY型、CloudUp3は双Yリッジ型です。
ネイチャーハイクを代表するテントで1240gと登山メーカーのテントと同レベルな軽さでありながら値段は3~4分の1程度というとんでもクオリティ。
山のテン場で見ることも多いですし、キャンプ場でもよく見かけます。毎年のようにマイナーチェンジをして細かいところが調整されて使い勝手も向上してて正直もうこれでいいじゃんってテント。
双Yリッジ
双Y型にリッジポールを追加した双Yリッジ型。双Yのデメリットであった中心上部の狭さをポール1本で解決しています。
見た目がMSRっぽいと思われるテントはこの形です。
双Y型の軽さ、左右の広さはそのままにリッジポールで上部の広さ、前室の広さを追加したX形に次ぐ新定番と思えるポール構造。
リッジポールの長さで居住性は大きく変わり、長くなるほど側面が垂直になり居住性は高く、短いほど軽量になります。そこがテントごとの特徴になるでしょう。
国内メーカーはあまり使わない構造ですが、海外メーカーは使用率高めの構造です。
ぶっちゃけデメリットが少なくドームテントトップレベルの居住性を得られる構造で居住性>軽量性で考えるならベストなポール構造だと思います。
ネイチャーハイクのMongar2はシンプルな双Yリッジ型。
リッジポールが長めで前室後室の壁面が垂直に反り上がるほど広い。
軽量なポール、広い室内、広い前室でほぼ全てのシチュエーションで活躍するでしょう。
強いてデメリットを上げるならリッジポールをフライの内側で固定するのが面倒な場合もある、程度でしょうか。
またテントサイズが大きくなることから山で使うには設営にスペースが必要で、面積が大きくなるため強風に弱くなりやすいこともあります。
軽量性と居住性を高度なレベルで両立しソロキャンプやツーリング用途の方に一番オススメ。
双Yリッジ型のテント
ネイチャーハイク/Mongar2
Mongar2は1810g。
ポール構造だけでなく、カラー的にもMSRっぽいなーと思ってしまいます。
居住性と重量のバランスが良く、それでいて1万円中盤~後半程度、徒歩、自転車、バイク、車と全てのソロキャンプにオススメ。重量的に登山でも十分使用できる重さなのも素敵。
日本未発売ですがAliExpressで変える外付け前室(ギアシェッド)もあり、軽量シーンと荷物多いシーンで使い分けも可能。
MSR/ハバハバNX
MSRっぽい形の双Yリッジですが、実はMSRでこの形状なのはハバ系のみ。
ハバは1人用、ハバハバは2人用、さらにマザハバ、パパハバとなります。バーバパパは出てきません。
ハバハバで1720gとMongar2よりも軽量。2019年より前室が白→赤に変わってます。
DACよりも柔軟性の高いイーストン社のサイクロンポール、加水分解しにくいコーティングのエクストリームシールドシステム、シームテープなしの防水加工など経年劣化しにくく長く使える快適性と軽量性を持ったキャンプ~登山で使える万能テント。
値段ならエリクサーに行きたくなりますが、長く使うことを考えればハバハバにすると軽さが後々生きてきます。インナーテントのメッシュ率が高めなので暖かい時期用を想定したいとこ。
シートゥサミット/テロス
シートゥサミットの2021年新作、TELOS(テロス)。
跳ね上がったテンションリッジは通常のリッジポール以上に居住性を上げ、入口に高さを持たせます。
ある程度出きったと思っていた双Yリッジに改良の余地を気付かせてくれるのはさすがSEA TO SUMMITと思わされます。
同タイプで軽量性を重視のYリッジ型ALTO(アルト)もあります。
双Yリッジ変形
居住性と軽量性を両立し、完成されたポール構造と思われる双Yリッジのさらに上。その名も双Yリッジ変形型テント。変形型って呼び名のダサさがハンパない。
双YリッジのYが二股ではなく三股になった構造で短辺の壁面も垂直に立ち上がります。もうYじゃないので双Yですらないわけですが。
製品数も少なく現状ぼくが知る限りは2つだけです。
この構造を知ったきっかけが2019年にでたモンベルのルナドーム。
モンベルっぽくない見た目と色に野暮ったさのない海外っぽい雰囲気のテントです。
長いリッジポールで長辺側の側面は垂直に立ち上がり、また短辺側もYポールから1本ポールが飛び出ることで垂直な壁面になっています。
店頭で見た感想だとこれは広すぎる、という印象で中に入ると山岳2人用とは思えない広さ、2人で寝るのもアリだなと思えます。
メリットは双Y以上の圧倒的な居住性の高さ。
デメリットをあげるならリッジポールと三股ポールなどフライシート内側で固定しなければいけない部分が多く双Yリッジ以上に設営が面倒なことでしょう。しかしそれを補ってもあまりある居住性には感動を覚えます。
用途としては山よりはキャンプ向きで、車やバイクや自転車でのソロキャンプに適しているでしょう。もちろんテントの重量次第で山でも快適に過ごせます。
双Yリッジ変形型のテント
モンベル/ルナドーム
本体は1.58kg、ペグや張り縄込みで1.79kg。
人気山岳用のステラリッジの素材はそのままにポール構造を変え、長辺出入口にして居住性を上げたモデルです。
「登山ならステラリッジでいいけど、キャンプなら短辺出入口で中も狭いんだよな」って人にピッタリの山でもキャンプでもツーリングでも使えるテントです。
アフターサポートも充実したモンベルのルナドームはソロテント+居住性ならベストでしょう。
ビッグアグネス/バードビークSL2
重量2.13㎏でダブルウォールでポールが外側にくるフライ吊り下げ式です。
そのためフライシート単体で自立し、インナーテント無しでも設営がしやすくフロアレスシェルターとしても使えます。
また広い前後室どちらからも出入りができるため片方は荷物置き、片方を出入りにしたり、2人で使ってそれぞれを前室として使うことも可能です。
さらに三股ポールの交点が高く、テント自体も112cmと高めで居住性はかなり高め。
快適性重視なソロキャンプで使いたいテントですね。
https://kenkosya.com/bigagnes/products/?id=TBBSL219
うお座
うお座型、これは正しい名称。
テント好きになら比較的伝わるワードです。真ん中が体、左右が尾びれに見えることからでしょうかね。
今は伝説、古くはMossテントがうお座型テントを多く出していました。StarGazerやOlympicなどはビンテージテントとして名品。
うお座型は何より見た目のカッコよさが一番の魅力かと思います。短辺側から見た時の交差したポール、そこに魅せられてしまいます。
同じ長さのポール2本が2ヶ所で交差する構造で、X型は対角線にポールが伸びますが、うお座型は同じ長辺にポールが伸びます。
X型の場合は頂点が一番高くなりますが、うお座型は頂点の一番高い位置の幅が広くなるのが特徴です。またX型よりも長辺が垂直に立ち上がりやすい構造で居住性は高くなりやすいです。
また前室は広く、ペグ2本で固定する台形前室が多いです。交差した左右のポール下にベンチレーションがつけやすいです。
構造上、ポールの交点をハブでまとめることができません。
設営時にポールを抑えながら交点とインナーテントを固定するのが少し面倒になりがち。パーゴワークスのニンジャテントは大きなフックで優秀です。
X型よりも耐風性が低くなりやすいのも覚えておきたいポイント。
正直山岳用としての魅力は薄く感じてしまいます。
うお座型のテント
バンドッグ/ソロドーム
重量1880g。
前は青いソロドームしかなく、白もでてきたなぁと思ったらAmazon限定でダークグリーンとカーキも増えてイロドリミドリ。白は若干軽量なモデルです。
大きな長辺出入口、上に巻き取れる入口のフライで出入りがしやすく、荷物の出し入れもしやすい見るからに使い勝手の良さそうなテント。
それでいて値段もアンダー1万円とリーズナブル。スタイリッシュさの感じるうお座型ではありませんがソロキャンプや自転車バイクツーリング用テントにはベストでしょう。
パーゴワークス/ニンジャテント
2019年に発売したパーゴワークスのニンジャテント、登場から人気ですね。
最小重量1160g、最大1600gと差が大きいですがグラウンドシートも込みのため。
パーゴらしい所有欲を満たしてくれる巻物スタイルの収納袋、前室キャノピーについた排水機構、インナーテントには6つのポケット、画期的な背面ベンチレーション、正直どれをとっても他に見たことのないテントです。
→ULキャンパーたかにぃさんがレビューを見ると魅力がわかります
うお座リッジ
うお座型にリッジポールを付けたモデル。
リッジポールが付くと居住性向上、前室拡張になり、設営の手間、重量微増になります。
うお座リッジではリッジポールの交点が2ヶ所になり、ハブでの固定がされないためポールが合計3本になるのが煩わしさを感じます。しかし居住性があがるのは魅力です。
MSRはエントリーモデルのエリクサーがうお座リッジ型。
リッジポールはインナーテントとの2ヶ所で固定し、2本のポールと固定せずに上に乗っかるだけです。
やはりリッジ型は長辺側の側面が立ち上がり居住性が高くなるのが魅力です。
ハブで固定できない分、Xリッジや双Yリッジに比べ設営の手間や安定性が欠けること、ポールが3本になること。がデメリット。
ただXリッジと大きく変わりはないテントで、Xリッジかうお座リッジか迷ったら見た目で決めても問題はないレベル。
しかし耐風性がX型よりも低いため、山よりはキャンプやツーリング用途が強めの重量や素材で出しているメーカーが多い印象です。
うお座リッジ型のテント
MSR/エリクサー
2020年よりゴールドと欧州限定だったグリーンの2色が日本でも追加。定番シルバーカラーは2019年より前室が赤くなり、前室がペグ1本の三角形からペグ2本の台形になってます。
エリクサー2は最小2240g、総重量2770gとフットプリント込みですが最近のソロテント情勢的には少し重め。代わりに値段が安めなのが嬉しいポイント。
70Dフロア+68Dフライで雑に使える頑丈さ。台形型前後室も広く、インナーテントはメッシュ率低めでオールシーズン活躍してくれます。
別売りギアシェッドが優れもので快適性を数倍にあげてくれます。
ネイチャーハイク/Hiby
うお座リッジのリッジポールが地面までついた構造で、うお座リッジではなく、*+うお座で「うお座*型」とでもいうべき構造ですがここに入れちゃいます。オガワのホズも同じ形。
ネイチャーハイクの人気Hiby(ハイビー)は吊り下げインナーでテントの半分は広い前室になります。圧倒的な居住性、出入りのしやすさ、前室の広さが魅力。
代わりにうお座のポール2本が長くなりすぎて強度的に低くなるのがデメリットです。
風にも弱くなるため強風時以外は優秀です。キャンプ場でよく見るテント。
Aフレーム
双Y型に近いですが、短辺側から見た時にYではなく△に見えるポール構造でトップポールがあまり曲がらず左右の△の上にトップポールが乗ったような構造です。
昔のテントといえばこの形でどこか古さを感じる形状で愛着を持ちやすいテントが多いです。
基本的にAフレームはほぼ短辺出入口。
このテントの代表格はモンベルのムーンライトテントでしょう。
ただムーンライトはAフレームの左右がはみ出した構造でAフレームよりも広い構造です。
特徴としてはトップポールの高さが一定で頂点部分の高さが均一になることで、ほかのドームテントよりも端の上部が高くなります。ただモノによりムーンライト1型などは奥が低くなっているなどはあります。
デメリットはトップポールが1本のみのためテント内の幅が狭く、壁が迫りくる圧迫感があります。双Y型に近いデメリットですね。
Aフレーム型はXリッジ型や双Yリッジ型など優秀なポール構造のテントが多くなる中で廃れていってるポール構造です。しかし古き良きシンプルさで雰囲気を楽しんだり、見た目を楽しむという用途には適切。
相棒とキャンプを、と考えるツーリングやキャンプシーンで長く使いたいテントです。
Aフレーム型のテント
モンベル/ムーンライトテント
ゆるキャン△人気で売り切れ続出だったムーンライト、2020年にモデルチェンジ、サイズ変更+軽量化されています。
2型では2390g、フロア40D、レイン20Dです。軽量化されてもUL化の波についていけてないのを感じますが、ほかにない見た目で買うには良いテントです、ムーンライトの見た目が好きなら買って後悔はしないでしょう。
別記事で旧モデルとの性能や値段の比較を書いた記事もどうぞ
→モンベル2020年春夏カタログの新商品が激アツ!注目商品を紹介! – ぜつえんアウトドア
Y
片側Y字のポール構造。Y型ポール構造などと呼んでいます。
ポール3点が地面につくため自立はしますが不安定。実用性は低くペグはほぼ必須で半自立式と言われます。メーカーにより自立式で書いてるところも多いので注意。
裏技的にはザックや荷物、トレッキングポールを横に置くことでペグなしで安定させることも可能です。
双Y型がハブを2つ使うのに対し、Y型はハブ1つで済むためコスト的にも削減でき、軽量化も進みます。耐風性は双Y型に比べると落ちますが、UL登山なら非自立よりは格段に快適です。
この形状はビッグアグネスのフライクリークが有名。
自立式のドームテントでは最もポール重量を減らすことができるためUL系のテントで使われます。軽さ重視でインナーテントはほぼメッシュ。
入口側を大きくし高くして出入りや座っての作業は快適に、奥を狭く低くなるため居住性は落ちますが寝るのに不便は少ない作りです。
ダブルウォールテントで軽量+自立を求める人向けなY型ですが、やはり他のモノに比べ居住性は落ちるためバックパックキャンパー以外のキャンパーにはオススメしにくいテント。
夏山登山やロングトレイルでは荷物を大幅に軽くできるためオススメです。
Y型のテント
ネイチャーハイク/CloudUp1
1万円ちょっとの値段で1152gと価格破壊のULテント。
軽い、安い、省スペースで設営可能で夏山登山用に最適。張る場所さえ間違えなければアルプスのテン場でも必要十分でしょう。
ただ中は狭く快適性は低めでマット+ザックでギリギリサイズ、初めてのテントなら双Y型のCloudUp2(1240g)やをオススメしたい。
NEMO/ホーネットストーム2
ニーモの軽量ダブルウォール半自立式テント。
Y型ながら前後の長辺出入口。リッジポールの代わりに、独自のフライバーボリューマイジングクリップを2点に採用することで軽量性と居住性も両立。
後述するYリッジにしてもいいのですが、リッジが短すぎるのでY字に分類。
2人用サイズで居住性、快適性を持ちながらも1kgを切って940gという軽さ。
インナーをフライで引っ張るガイラインや足元のバスタブに高さを出す構造など細部までこだわり抜かれたテントです。
ビッグアグネス/フライクリークHV1カーボン withダイニーマ
ビッグアグネスのテントカテゴリの中ではウルトラライトよりも軽いクレイジーライトに属する狂ってるほど軽いテント。
それもそのはず自立式ダブルウォールで595gと常識外れの軽さ。名前の通りフライとフロアには防水高強度のダイニーマを。ポールはイーストン社のカーボンポール。
ダイニーマあるあるですが透けたフライでプライベートもあったもんじゃないです。
Yリッジ
軽量特化のY型にリッジを追加して居住性も求めたYリッジ型。
ただこの形状にする以上、軽量性>居住性なわけでリッジポールは短めなモデルが多め。Y型ほど尖った使い勝手ではなく普通に選べる範囲の居住性なのも嬉しいところ。
ただそれでもキャンプよりは登山向きなテントが多いです。
Yリッジ型のテント
MSR/フリーライト2
重量1330g、Yリッジ型で長辺出入口。
同社ハバハバNXの片側のYを無くしてテント高を下げたようなテントで、MSRの自立式の中では最軽量テントがこのフリーライト。
MSRあるあるですが前後室どちらも使えるため思った以上に使い勝手はよくそこまで狭さは感じさせない作りです。フライフロア共に15Dと薄め。
ニーモ/ホーネットストーム2P
重量940g。こちらも長辺出入口。広くなる二股ポール側が入口を作った台形型のインナーテント構造。
ホーネットストームの特殊なとこはリッジ部分をフライバーボリューマイジングクリップというプロペラのような近未来的なパーツを採用しているところ。
ちなみにこのパーツをホーネットストーム1Pは1つ、2Pは2つ使っている。
長さは短い分リッジポールほどの拡張はできなさそうですがY型に比べれば格段に広くなる確実に嬉しい仕様。
Yリッジ変形
Yリッジの変形バージョン、といっても現状1つしかない知らない構造。
ネイチャーハイクが2019年に出したCloud wingがこの形状。
Y型のハブ部分から2本のリッジポールが出た形状で長い3本と短い2本の5本ポール構造。
なにより初めて見た時にそのスタイリッシュなシルエットに惹かれてしまいました。
さらにフライ吊り下げ式であるのも珍しいポイント。そのためY型ですが自立は厳しいと思われます。
そして90cmという低さ、14本のペグで耐風性の高さもうかがえます。
重量は1500gと重めですが夏山登山に良さそう。キャンプでは居住性が低くあえて選ぶテントではないと思ってしまいます。
Iリッジ
今回唯一の非自立型ドームテント。 Yリッジの二股ポールも省き1本のポール+リッジポールのみにしてしまった構造。四辺をペグダウンしたうえでポールを通すことで自立します。
これ以上軽く、ポールを減らそうと思うとポールシェルター構造になってくるでしょう。
ポールが少ない分、インナーテントを吊り下げるポイントが少なくなり居住性の確保が難しいですが、それでも作られたテントに人の業の深さを感じます。
MSRのカーボンリフレックスがIリッジ型。写真で見るとそこまで絞られたテントに見えないのが不思議です。
リッジポールがあることで入口側は立ち上がりますが、Yリッジや双Yリッジと比べるとどうしても四隅上部の狭さが目立ちます。
居住性を求める方にはオススメできず、やはり軽量性を求める方に進めたいテントです。
これもキャンプよりは登山、さらにメッシュインナーのため夏山向きのテントと言えます。
Iリッジ型のテント
ネイチャーハイク/Taga
Taga2が1215g。
シングルウォールながら前後室があり使い勝手を良くしたIリッジ型のテント。
四隅をペグダウン+前後室2ヶ所ペグダウンで実用ラインになります。
ポールの少なさと外側にポールがあることで設営は一瞬でしょう。軽さと安さで徒歩キャンパーなら良さそう。
MSR/カーボンリフレックス
カーボンリフレックス1は最軽量構造らしく重量わずか790g。
フロア15D、フライ7Dと極薄。加水分解しにくいコーティングのエクストリームシールドシステムを採用しています。
値段の高さもあり、気軽に雑に使える感じはないです。しかし軽量を求める夏山で、さらに非自立を設営できる場所ならこの軽さは嬉しいです。
ZEROGRAM/Thru Hiker 1p
最小947g。
1型の中でもさらに細めのサイズ感。
名前の通りアメリカのロングトレイルを想定し、数ヶ月で数千キロ歩き続けるときに使いたくなるシンプルで軽量なモデル。
短辺側に逆U字のジッパーがついていて、荷物置きスペースになってるのはゼログラムの心意気を感じます。
変わり種
ホーボーズネスト2
全天候型アウトドアライターのホーボージュンさんがテンマクデザインがコラボして作ったテント。
その特異なポール使いとデザインから、2020年のグッドデザイン賞も受賞。
ホーボーズネスト(放浪者の巣)は世界中を旅するためのテントなんだと思わせる名前です。
対角に張られたポールとそれと交差する2本の短いポールの3本で構成されたポール構造は革新的なポールワークで、素早い設営を可能にしています。
スリーブ式でフライシートを吊り下げ、中にインナーテントを吊り下げる構造。
短い2本のポールはスリーブに通したあとエンドキャップで固定し張りを出しています。
真横から見るとわかりやすいですが、短いポールがリッジポールと同じ役割を果たし、長辺の壁を立ち上がらせています。
インナーメッシュですがフライシートが地面近くまで覆われ悪天候や冬も想定されていることがわかります。冬用インナーも開発中とのこと。
1940gで軽い分類ではないですが、快適性はかなり高く薄すぎない生地も長く旅するためのテントには最適。
非常に使ってみたいと興味をひかれるテントの一つです。
ちなみに、昔にアライのトレックライズベースで改良された前身のホーボーズネスト1というモデルもありました。今回は独自性、快適性、デザイン共に完成度の高い2作目となっています。
MSRとネイチャーハイクのポール構造
比較的様々なポール構造を使っているMSRとネイチャーハイクのテントがどのポール構造を使っているかの一覧表。
MSRの凄いところは同じポール構造のテントがほとんどないところ。
山岳、雪中、キャンプ、ロングトレイル用などで軽量化、居住性、耐風性を意識して使い分けているのだと思いますが明確に差別化されていて驚きます。ただ全般リッジポール採用モデルが多くULよりは居住性を重視したテントが多いです。
それがメーカー的なスタンスなのかなと思います。
ネイチャーハイクはテント数が多いのもありますがいろんなポール構造を使ってます。
ここに記載してませんが双Yリッジが多めでStarRiver2、CloudUp3もです。
特にこだわりを感じるのがCloudUp系。1がY、2が双Y、3が双Yリッジと軽量性と居住性を明確化しているところ。すげーなぁって思っちゃいますね。
MSR |
ネイチャーハイク
|
|
X | アドバンスプロ | Pシリーズ |
Xリッジ | ゾイック | Nebula |
Xキャノピー | × | Cirus |
* | アクセス | CloudPeak |
双Y | × | CloudUp2 |
双Yリッジ | ハバ | VIK、Mongar2 |
うお座 | × | × |
うお座リッジ | エリクサー | Hiby |
Y | × | CloudUp1 |
Yリッジ | フリーライト | × |
Yリッジ変形 | × | CloudWing |
Iリッジ | カーボンリフレックス | Taga |
まとめ
自立式ドームテントといってもこれだけの種類があるわけです。
それぞれメリットデメリットがあり、そしてカッコよさに繋がっています。
テントに求めるモノが居住性か軽量性か、はたまたカッコよさか、ポール構造からそれを選んでいくのもアリではないでしょうか?
15種類+数個のポール構造を上げましたが、探せばもっとたくさんあります。って記事。
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コメント
広い見識に裏付けされていて、とても面白かったです。私はキャンプ初心者で、初めてのテントをどれにするか迷いました。そのようにして買ったテントについて、自分が求めた理由とメーカーの込めたであろう思いを見比べると新しい発見がありますね。
かなり長い記事を読んで頂いて、コメントもありがとうございます!
買ったテントは良いテントでしたでしょうか?
ポールの形だけで考えても用途や金額が大きく変わるので、考えてみるとテントの見方が広がります。
知れば知るほど欲しいテントが増えていくのもメーカーの思いゆえの魅力なのでしょうね。