こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
ご縁あってMRSのパックラフトを使う機会がありました。
種類やカラバリが豊富で値段も手ごろと選びやすい中国のパックラフトブランドMRS。
パックラフトの購入を考えた時に真っ先に候補に上がるブランドの一つです。
今回はMRSの定番パックラフト3艇とぼくが持ってるグリフォンラフト ストレウスを比較しながらレビューしていきます。
※記事中の文字入り画像などはタッチで高画質版が見られます。
記事ボリュームが増えすぎるので2記事に分けてます。
・前編[スペック編]MRSのことと4艇のスペックや見た目←この記事
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MRS
中国四川省で2007年に創業したMRS(Micro Rafting System:マイクロラフティングシステム[小さなイカダ組織])。
製品の箱などMicro Raft Systemを使うときもあるみたいです。ぼくはエムアールエスと呼んでます。
ゴムボートを作ってた経験を活かしてパックラフトも作ってるブランドが多くありますが、MRSはパックラフト専門で開発製造販売をしているブランドです。
自然豊かな四川省でカヤックなどのパドルスポーツを楽しんでいた創業者の王岱(Wang dai:ワンダイ?)は自分が使いたい最高のパックラフトを作ることを目指しています。
最高品質の素材を使い、熟練の職人による手作業で作りだされるパックラフトは長く使い続けることができるでしょう。
ヨーロッパではすでにトップパックラフトブランドの地位を確立し、アメリカやカナダへも展開を広げ、ますます勢力を伸ばしている会社です。
製品を積極的に開発し続けているため、各モデルのデザインや細かい仕様も頻繁に改良されています。それでも欲しいと思った時が買い時なのは間違いありません。
日本展開してる個人的パックラフト4大ブランドは
勢力のレベルはわかりませんが、製品のラインナップ的にはアルパカラフトに次いで充実している印象があります。
キャンプギアでもそうですが中華製だから安くてそれなりなんて考えは古く、TheFreeSpritsのテントなど値段も性能も世界トップブランド同等な製品を作る会社が多くあり、MRSもそんな中国から世界へ羽ばたいてるトップブランドです。
中華製品ってすごい安くてしょぼいのもあれば、高くて本気なものもあるという振れ幅が大きいんですよね。
KAZE STORE
日本の代理店は京都のKAZE STOREさん。
中国四川省に13年住んでいた元バックパッカーで、現ゲストハウスオーナーという経歴。
MRS創業者夫婦とはMRS立ち上げ以前からの親友という話。
見やすい公式サイトで目的にあったパックラフトを選びやすいのが嬉しいです。
ぼくが好きそうな一覧表を公式で出してくれてるのが本当に嬉しいとこ。ずっと見てられる。
性能や用途の違いをじっくり比べやすいです。
またパックラフト送付日から3年間の保証期間があり、初期不良には無償で保証してくれます。
それ以外の破損にも有償で保証してくれるのは国内代理店から購入する大きなメリットです。
カスタムカラー
各モデルに追加1万円でパーツごとに色の配置をカスタマイズできます。
グリーン・レッド・イエロー、・ブルーの4色から選択することができ、黒いバイキングとアリゲーターは高強度な生地が使われてるためカスタムは非推奨。
アルパカラフトなどでも行われてるカスタムカラーですが、自分だけの1艇を作ることができるのでお財布に余裕があるなら選びたいカスタム。
ISS
メーカーによって呼び名が異なりますが、本体に防水ジッパーを付けてチューブの中に荷物を収納する構造があります。
MRSではISS(Internal Storage System:インターナルストレージシステム[内蔵倉庫])と呼ばれ、13000円で追加できます。一部小型モデルには付けることができません。
防水ジッパーにはドイツのTIZIP(ティージップ)が採用されています。撥水ではなく、完全防水で水没に耐えるジッパーです。
大きな防水バッグが2つ付いてくるので、入れる袋に悩む必要が無いのもありがたいところ。
チューブ内部に収納するため物理的に膨らました状態でジッパーを開閉することはできず、ちょっと出したいから出す、みたいなモノには向きません。
入れるべきは宿泊地で出すキャンプ道具や着替えなどでしょうか。
・積載性能の上昇
・低重心化による安定性の向上
・荷物の雨風波からの保護
・枝や岩などに引っかかるリスクの低減
メリットは多く、1泊以上のキャンプツーリングを想定しているならISSは付けて損の無いオプションです。
レンタルパックラフト
※現在休止中
珍しいパックラフトを自宅に配送してくれるレンタルサービスも行ってます。
軽量コンパクトさが売りなパックラフトの特徴を活かしたサービスですね。
レンタル後に購入すると、レンタル料を省いた金額から商品を購入することができるのも嬉しいポイント。送料は省かれないのに注意。
レンタルできる種類も多く、シンプルな静水一人用から流水タンデム用まで用意されています。
ぼくもそうでしたが知り合いにパックラフトを持ってる人もいなく、試し乗りもできずに買う勇気がでない人には一度パックラフトを体験してみることができる非常にありがたいサービスです。
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MRSのパックラフト3艇+ストレウス
乗り比べたのはMRS3艇+グリフォンラフト ストレウスの計4艇。
・GRIFFONRAFT/ストレウス
・MRS/Ponto
・MRS/Microraft S
・MRS/VikingSelfbailer
今までストレウスしか乗ったことがないので、ストレウスを基準に他3艇を比べます。
ただ乗れば乗るほどストレウスが癖の強い異端児だったことに気付かされ、基準としては適してないなと思いました。
一列に並べると船首(バウ)や船尾(スターン)の形状の違いがわかるのも楽しいですね。
オープンデッキ2艇、簡易スプレーデッキ、セルフベイラーとタイプが異なる4艇。
ボトム生地はポントが一段弱い420Dで他は840D。
本体(チューブ)生地はバイキングセルフベイラーの強度が420Dで一段強め。
順番に特徴を説明していきます。
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Ponto
鮮やかな黄色が目立ち、名前も可愛いPonto(ポント)。
ポンツーン(浮桟橋)に由来したその名前は言われれば「あーたしかにポンツーンっぽいな!」と思える浮遊感があります。
鮮やかなイエローが水上でも目立ちますし、スポーティな色味でほんと好き。超可愛い。好き。
シンプルなオープンデッキタイプで静水が快適なモデルながら、もちろん流水(川下り)にも対応可能。
3kg以下のパックラフトも数多く存在しますが、軽くなるほどは走行性能を省いた小さいモデルが多くなりがち。3kg以下で全長250cmを越えるモデルはぼくが知る限りポントのみです。
超軽量とは言えませんが、軽さと運動性能と快適さを両立した万能モデルと言えます。
今回乗った中でも特に安定性が高く、値段も控えめで最も万人向きな艇でした。
快適性
内側の幅長さ共にゆったりサイズで背が高い人や重めな人でも快適に乗れます。
パックラフト的には幅が広すぎるとパドリングがしにくくなるので個人的には90cm位までが使いやすく感じますが、ポントは意外と漕ぎやすい。
乗る時は膝を曲げて太ももとふくらはぎを側面に押し付けるようにして安定させます。狭すぎてやりにくいことはありませんが、広すぎるとやりにくくなります。ポントも少し大変。
横から。
体重のかかる背中側は膨らんで浮力が高くなっています。
船首側内部もスペースに余裕があり、子供やペットなら乗せることができます。
グラブループを使って大きな荷物を載せることもできるのでキャンプツーリングにも向いてます。
身長161cmのぼくが座って足を伸ばした状態。
室内長は135.5cmあり、足先から先端まで15cm程度余裕があります。荷物も置きやすくかなり余裕のあるサイズ感です。
パックラフト購入前に自分の座った時の背中から足先の長さを測ったりもしましたが、パックラフト記載の内長は背中のバックレスト分が計算されていないため、実用長はスペックよりもやや短めです。
あぐらをするとこんな感じ。
足を曲げるとかなりスペースに余裕ができますね。
パックラフトらしくだらーんと乗りやすいのも内部が広くオープンデッキだからこそと言えます。
ところでポントというかMRS全モデル共通のチャームポイントは黒いテープが斜めに付けられてて船尾側がくびれた形状になってる部分だと思ってます。
ビビッドなカラーとマッチして特にイエローでは可愛さが際立つチャーミングなポイントです。
荷物積載
90Lダッフルバッグを積んだ見た目。
それなりにサイズのあるバッグなら船体の上に載せることができて、足元は広々としたままです。
小物などを足元に置いてもいいですが、オープンデッキは中に水が溜まりやすいのでできれば船体に載せちゃう積載がベスト。
浮力が高いポントは1泊程度のキャンプ道具も余裕で積むことができます。
船体ではなく、足元に荷物を置けば蹴り込むことができ、踏ん張りを利かすことができるようにもなります。
シート・バックレスト
本体に付いてるシート(エア座布団)とバックレスト(エア背もたれ)。
マイクロラフトと同じもので、ストレウスともほぼ同じでした。
どちらもチューブ状の空気入れが付いていて青いキャップ回転させることでバルブが開閉し、口で膨らますことができます。電動ポンプも使えます。
シートやバックレストを膨らませるときは姿勢が大変になりがち。
パックラフトを立てて膨らませると楽です。
シートと本体の取り付けはストレウス同様だった紐を通してくタイプ。
ストレウスは紐が入っていて自分で付ける必要がありましたが、MRSは最初から付いてるので届いたらすぐに使えます。
個人的に気になってしょうがないのはタグの位置。
見やすいけど見やすすぎてちょっと邪魔。
ここのリバーサインとか書かれてたら面白いんですけどね。
スケグ
MRSの特徴の一つにスケグがあります。
全モデルにスケグが標準装備がされているので静水域は特に強いブランドだと思います。
ストレウスにもスケグが付属してます。まさかの4艇全てスケグ付きですが、パックラフト全体で見るとスケグ付きは希少です。
SUPではフィンとも呼ばれますが役割は同じ、回転を抑えて直進性を向上させるためのモノです。
前後にスリットが入っていて、前を深く入れてから少し戻して後ろも差し込んで前後固定する仕組みになっています。
前から差し込んでいく。
一番奥まで差し込むと少し後ろに余裕ができます。
後も刺さるようにずらしてあげれば取付完了です。
落下防止の紐が付属してます。
紐は心配なら付けてもいいですが付けるのが面倒でほぼ付けてません。
それにスケグはかなりキツめで個体差でヤスリで削らないと入らないモノがあるというほどしっかり差し込めます。
静水でしか使わない予定の日なら膨らます前に付けるほうが楽です。
スケグを付けるのは流れが弱く広い川や湖、海といった直進性が求められる場所のみ。
川下りでは直進性よりも方向の微調整が重要になってくるので逆に大変になってしまいます。
小さな見た目で効果があるのか信じられないスケグですが、実際付けると初心者でも漕いだ時に回転しなくなったのが実感できるレベルです。
ちなみにMRSは後付けできるグラブループなどが充実していて、なんとスケグ後付けDIYセットも販売されています。
これがあれば他社艇にもスケグを付けることができるわけです。
ぼくはスケグ標準装備のパックラフトにしか乗ったことが無くて、スケグ無しとかありえんじゃろ?と思ってるほど。少しでも速度が欲しい湖では必須ですよ。
グラブループ
ロープや荷物を付ける時に使うナイロン製のグラブループ。
本体に接着されていてパックラフトを持ち上げる時などにも使うことができます。
数は少なめで8個(外側6個、内2個)。
ポントの欠点はこのグラブループの少なさ。
船首側4個は荷物を付けられる最小数でまあ良い。
しかし船尾側には2個しかないので持ち手を付ける程度にしか使えないのでちょっと不便。
内側にある長いループは水抜きや持つ用。
水抜きには便利ですが持つにはちょっと短くて微妙。カラビナを付けるとちょっと持ちやすくなります。
自作で膝を固定するサイストラップを付けようにも内側ループの位置は悪くお手上げ。
手軽に使いやすい最軽量コンパクトなポントですが、構造的にも最低限であり、パックラフトで遊ぶことが増えるほど物足りなさを感じることも増えてくるのではないかと思います。
ただ自分で付ける手間はありますが、必要になれば安価でグラブループやDカン追加もしやすいので物足りなくなってもアップデートできるのは事実。
非常に高額なパックラフトながら値段で選ぶべきではないと思ってますが、MRSの中で最も安いモデルなのでパックラフトを一番始めやすいのがポントです。
持ち方
パックラフトはエアシートの下に腕を突っ込んで持ちます。
ポーテージや入水までの持ち運びですね。
内側の長めなグラブループは艇が幅広なこともあってか片手で掴むのは大変。
カラビナを付けると一気に持ちやすくなります。
2.9kgしかなく形状的にもシンプルなポントは持ちやすく、質量と重量のアンマッチさに想像以上に軽く感じられます。
川下りには力不足感もあるポントですが、積極的にポーテージできるのはパックラフトらしい魅力の溢れる艇です。
持つ時やグラブループで荷物を吊るすのに相性が良いナイトアイズ エスビナーは持っておくと活躍します。#3(耐荷重11kg)~#4(耐荷重33kg)位の汎用性高いですね。
Tulo
ポントの形状そのままに一回り小さくした、2270gのTulo(トゥロ)もあります。
サイズ違いであり、女性や小柄な男性で荷物の積載が少ないならトゥロも良いでしょう。
バックパックに入れて担ぐ距離の長い川や秘境を目指す人には軽さのアドバンテージも出てきます。
ただ身長に関わらず明確な用途が決まってないのなら、広く快適で川下りに強く、積載性も高いポントが無難だと思います。
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Microraft S
Micro Rafting Systemの頭文字をとったMRS。
その中のMicroRaftを冠したこのMicroraft(マイクロラフト)はMRSの主力製品なのではと勝手に思ってます。
取り外し可能な簡易スプレーデッキが付くことで水を侵入を防ぎ静水流水どちらにも対応し、保温力もあるため寒い時期や雨の日にも使いやすい特徴があります。
スプレーデッキが付きながらもポントより少し重い3250g(Sサイズ)に抑えられ、パックラフトらしい軽量性も犠牲にしていないハイブリッドパックラフトと言えます。
XS-XLまでの5サイズ展開で乗る人の用途や体格に合わせることができるのも主力製品を思わせる理由です。
出入りの手間や沈時の脱出の手間と怖さなど初心者が手を出しにくい要素は揃っていますが、取り外せばほぼオープンデッキと思えばハイブリッドオープンデッキタイプと考えることもできます。
水遊びやスポーツに苦手意識の無い人なら問題無く乗れるマイクロラフトはポントよりもテクニカルにパックラフトを楽しみたい人に勧めたいモデルです。
外観
防水生地で上部全面が覆われています。パックラフト同様に420Dナイロンを両面TPUコーティングされた生地です。
飽きのこない深みのあるやや青味の入ったカッコいいグリーン。
アウトドアっぽい派手な原色カラーが苦手でも好きな人が多そうな色味です。
反射しやすい素材なので太陽の下と日陰などで違う色に見えてしまうので写真や動画では伝えにくいのが難点ですね。
側面から背面にかけてゴム紐が入っていて伸縮性があります。
ゴム紐を絞ることで体に密着させて、水の侵入を防ぐことができますが完全に防ぐことはできず、多少の侵入はあります。ゆえに簡易。
シートとバックレストはポントと同じ。
快適性
乗るとこんな感じ。
スプレーデッキは立ち上がりがあってみぞおち辺りまでカバーしてくれます。
座る位置が固定されてしまうので浅く座っりにくいのが雑に乗りたいパックラフトらしくないカヤックっぽさを感じてしまいます。
膝を曲げると上のカバーに当たることでサイストラップ無しでも固定されますが窮屈感は強くなります。
それだけでもポントよりも格段に艇を傾ける操作がしやすくなって川下りが楽しくなります。
カバーを外した状態。
Sサイズの内幅31cmでお尻や膝周りにやや窮屈感がありますが、その分力は込めやすいので操作性は上がります。
スプレーカバーを装着するときに気を付けないと背中側をPFDで巻き込んでしまいガチです。
大した問題じゃないですが浸水しやすいときはここが原因な気がしてます。
内長131cmとポントよりも4.5cm短いだけですが幅も狭いからか格段に狭く感じます。
靴を履いて足を延ばした状態で靴の小指側が側面に当たるサイズ感。
窮屈感があるくらいのほうが操作性は良いので好みがわかれそうですが、パックラフト的にはSサイズでは160-165cm程度までの人という感じでしょうか。
さらにカバーを付けるため見た目以上に窮屈。
スプレーデッキの取り外しと収納
簡易スプレーデッキなので取り外しが可能です。
ベルクロ(マジックテープ)とジッパーで取り付けられていて、乗り降りや沈脱出時に使うのがベルクロ、取り外しで使うのがジッパー。
赤い線がベルクロ、オレンジと黄色の点線がジッパーで丸がジッパータブ、紫線がゴム紐で丸がコードロックです。
取り外せるスプレーデッキ部分は実測で約360グラムでした。
スプレーデッキを外したマイクロラフトは2890g(3250g-360g)となり、ポント(2900g)よりもわずかに軽い計算です。
バックパックに入れて持ち運ぶようなシーンでは360g軽量化できるのはかなりの強み。
そんな用途に合わせた使い分けができるのも簡易スプレーデッキタイプの魅力ですね。
しかし周囲のジッパー片側と先端側の一部は取り外すことができません。
そこに水が溜まりやすくなりますし、艇内にたまった水を出すのはオープンデッキよりもちょっと面倒。
良く言えばハイブリッドでも、悪く言えば中途半端と言えるとこです。
そもそも狭いのと前のデッキ部でポントに比べて解放感は少なめです。
荷物を乗せやすいので一長一短です。
ジッパーはもちろんYKKの止水ジッパー。
完全防水ではありませんが高い撥水性で水没しなければ水の侵入を気にする必要はありません。
左右のベルクロとジッパーはやや下向きになっているので浸水しにくく、デッキ上の水が流れやすくなっています。
船首ジッパーとベルクロの部分は二重ベルクロになっていて外れにくくなっています。
船首側のジッパーを外さずに、歪曲したジッパーとベルクロを外すと船首側に収納しておくこともできます。
そのためのベルクロが船首デッキの下に隠されてて、上にプラパーツも付いてました。
下に押し込むだけでも良い感じに固定できますし、すっきり収納できて手軽。
余ったベルクロで長物の固定もできます。
水抜きが面倒な簡易スプレーデッキタイプではビルジポンプが活躍してくれます。
デッキを付けた状態で前のジッパーだけを外すと隙間が出来て足位なら出すこともできます。が他の用途はちょっと思いつきませんね。
乗り方
乗り降りに癖がある簡易スプレーデッキタイプ。
進行方向左側のベルクロを剥がせば大きく開くので乗り降りは簡単ですが、右側に降りるのには向きません。
ジッパーを外さなくてもベルクロだけ剥がせば足を伸ばして乗れるくらいの広さ。
固定するときは片側を引っ張りながら、もう片手でベルクロを固定していきます。ベルクロはL字に伸びています。
片手はコードロックをつかみ、もう片手でドローコードを引っ張れば腰に締め付けられます。
逆側も締め付け。
ドローコードは先端がつかみやすく結ばれてました。
乗った状態。
足もやや窮屈、腰回りもやや窮屈で、まあ窮屈。
波を浴びにくいシーンや乗り降りが頻繁するシーンなら多少浸水してもドローコードは緩めておいたほうが楽ですし、デッキを外しちゃったほうが快適です。
後ろから。
ゴムで締める背面部はPFD下に来るのでフィット感高め。
脱出の仕方
パックラフト初心者が簡易スプレーデッキタイプを買う時に一番心配な脱出。
体の横、L字になったベルクロの交点に一瞬で剥がせるつまみがあります。
沈した時はこれが命綱。
水中で掴めるように静水で何度も沈脱出練習が必須です。
つまみがベルクロに巻き込まれてることが多いのが少しやっかい。
ナイロンだからベルクロにくっついちゃうんですけど、ゴムやシリコン素材にすればもっと便利かもしれません。
脱出するときはナイロンループを握って一気に剥がします。
L字のベルクロ交点にあるので両側同時にベリベリ剥がれていきます。
ここまで剥がれれば脱出できます。
パックラフトから降りる時もこの動きが多いです。
実際には水中で逆さまになった状態でこの動きをしなきゃいけないので慣れていないと非常に怖い。
この難易度というか、練習必須な部分がパックラフト初心者に避けられる理由ですね。
ただ「ドローコードを締めない」と「横のベルクロを緩めにしておく」を守れば左右を両手で押すだけで脱出可能です。
PFDの浮力もあり、這い出るような形で脱出ができるので沈しそうな瀬では緩めておけば心配しすぎる必要もありません
それでもオープンデッキよりも脱出にひと手間必要なのが水が苦手な人や運動神経に自信が無い人に、簡易スプレーデッキタイプを勧めにくい理由です。
本当に怖ければスプレーデッキ外せばいいので問題はないんですけどね。
デッキフロート
簡易スプレーデッキに付いたお腹の前にあるエア部分。
デッキフロートという、沈時に逆さまになったパックラフト無いに水が入って起こせなくなるのを防ぐ役割と、デッキ上にかかった水が膝上にたまらない役割を持っています。
実際使ってみると、沈脱後もほとんど艇内に水が入りません。
瀬の低い場所ならほとんど水も入らず水抜きの必要も無いほどです。
スプレーデッキで水抜きがしにくいので沈したら大変だと思ってましたが、ちゃんと考えられてますね。
荷物積載
デッキがある分、雑に荷物を積みやすいのが簡易スプレーデッキタイプ。
オープンデッキでは静水でもそれなりに水が溜まってしまいますが、簡易スプレーデッキタイプならスプレーデッキ上に荷物を置いておくこともできます。
使用頻度の高いカメラなどを防水バッグに入れて置けば撮影機会がいつもよりも多くなります。
ポントにスプレーデッキを付けただけ、をイメージしがちですが実際には全長全幅チューブ径がどれも一段小さなのがマイクロラフトです。
Ponto | Microraft S | |
推奨積載量 | 102㎏ | 83㎏ |
最大積載量 | 138㎏ | 113㎏ |
その分浮力も下がり、スペック上での積載量も割とカツカツ。
体重60kgのぼくですら23kgの荷物を積めば推奨積載量に達するためキャンプツーリングにもやや浮力不足感は否めません。
ちなみに過積載するほど本体が沈み、操作性が落ちてきます。
逆に荷物の積載が少ない状態ならポントよりも小さめなので操作性は良くクイックに動く感じがあります。
グラブループ
グラブループは8個あったポントに船尾に2個追加した10個。
パックラフト的にはこの数がスタンダードです。
前後4個でロープを通したり荷物を付けやすく不満もありません。
ポント同様に内側の長いグラブループは持ち上げたり、水抜きに使えます。
持ち方
スプレーデッキがあっても持ち方は変わりません。
少しカバーを剥がして腕をシート下に突っ込むだけ。
オープンデッキに比べ重そうな見た目ですが、サイズが小さいからか乾燥状態ではポント以上に軽く感じます。
ただ川下り中は水を完全に抜くのが難しいので重くなりやすい欠点はあります。
内幅の関係でポントよりもループの距離が狭く、片手で持ちやすくなってます。ただカラビナはあったほうが持ちやすいですね。
5サイズ展開
フィット感がキツめだからかサイズ展開が豊富。
ExtraLongは少し特殊な1.5人乗り(大人+子供)ができるような超ロングなので実質4サイズですね。
有難いことにサイズで値段が変わらないのは助かります。
浮力とサイズ的にはLでもポントよりも小さめ。
サイズの関係でXS、SではISSを付けることができず、M、L、XLはISS対応可能です。
Sサイズにややヘビーな友人が乗った時は明らかに沈み量が深く、スプレーデッキを締めきることができない程度にキツく、足もずっと乗ってるのが辛いほどとのことでした。
そのための5サイズ展開で、サイズ選びはかなり重要になってきそうです。
簡易スプレーデッキタイプのマイクロラフト。
ある程度の慣れと練習が必要ですが、必要以上に沈脱出の心配はしなくて大丈夫です。
そう考えるとスプレーデッキを外せばオープンデッキのように、スプレーデッキを付ければ流水や寒い時期に快適に乗り回すことができるハイブリッドパックラフトと言えます。
個人的にはポントよりも楽しく好きでした。
特に北海道という夏でも水温の冷たい環境なのでスプレーデッキを付けることにより暖かくなる恩恵が大きいと感じてます。
寒い時期や静水流水をマルチに楽しみたいなら簡易スプレーデッキタイプはアリです。
Viking Selfbailer
パックラフトを川遊びの手段として選ぶならオープンデッキが。
パックラフトを川下りの目的として選ぶならセルフベイラーが最適と言えます。
MRSが2021年に出した新モデルがViking Selfbailer(バイキングセルフベイラー)。
底に空いた11個の穴から常に排水され続けることで水抜きの必要が無い川下り特化したモデルです。
バイキングの名に恥じない水上の侵略者であり、水の上においては圧倒的な機動性を発揮します。
そして、現状MRS唯一のセルフベイラーモデルでもあります。
5点止めのサイストラップを標準装備し、ロッカーの入った船首、静水でも強いスケグ、踏ん張れるエアフットレスト、フィット感の良いバックレストと、ポントやマイクロラフトよりも1段上のパックラフトと言えます。
バックレスト
バイキングは他モデルよりもバックレストが豪華。
コの字で背中にフィットしてくれます。
正直他モデルのバックレストが微妙なのでこのくらいのグレードは標準装備で欲しいなと思ってしまいます。豪華にしただけ重く嵩張るのでパックラフトの魅力とはずれていくんですけどね。
シート
他モデルの2倍近い長さのあるシート。
必ず浸水するセルフベイラーでは他ブランドでもフルフロアか3/4フロアが使われてます。
バイキングのシート3/4ですね。
本体と同じ二重バルブと、バックレストに隠れる位置に長いチューブも隠れていて空気量を調整することができるようになっています。
ロールしてバックルで止めることで長さを調整できるようになっています。
身長に合わせてフットレストと一緒に調整するようですが、ぼくは基本全開で良かったです。
フットレスト
シートと同じく膨らますためのチューブ、ロールできるバックル、4つのプラリングが付いてます。
空気を入れずにロールした状態。
船首の足元にいれて本体に付いてる2本のベルクロを通して挟み込んで固定します。
チューブは丸めて隙間に隠しておくことができます。
シートと合わせてフロア全面を覆うことができるわけです。
足を押し付けることで踏ん張ることができます。
サイストラップを付けると長さに対してフロアに余裕はあまりなく、バックパックは置けても人が乗るのは厳しそうなサイズ感。
20L程度までの防水バッグなら良い感じにフィットしてくれます。
快適性
サイストラップ(膝を艇に固定するストラップ)を装着した状態。
シートが全面にあるのでやや高めのポジションに見えます。
サイストラップがあるからか膝が外側に向いてて力がこもってる感じもあります。
横向きだと特に膝が飛び出てる感じはありませんね。
船首にロッカーが入っててやや上向きになっているのは流水モデルの特徴です。
そして全長269cmとややロングなバイキング。
内長ではなく、船尾の膨らみが大きいのがその理由かなと思ってます。
サイストラップ
サイストラップやサイベルトと呼ばれる膝(太もも?)を固定することで艇を体で操作しやすくなる川下りで欲しいパーツ。
オープンデッキタイプでは別売りが多いですが、川下りを想定したセルフベイラーモデルでは標準装備されていることが多いです。
バイキングは片側5点で保持する強めに固定されるサイストラップで膝を固定できます。
片側4ヶ所で固定+中央をベルクロで固定しての5点。
本体横の取り付けは、スリットの入ったベースにフックをひっかける形状です。
2ヶ所はこのフック、もう2ヶ所はナイロンベルトで4本を調整して自分に合った位置にサイストラップを設置できます。
ぼくは脱出しやすいように、ややゆるめに付けてます。
MRSではサイストラップを別売りしてます。
バイキングに付いてる5点固定タイプと、簡易的な3点固定タイプがあります。オープンデッキに付けるなら3点で十分かなと思います。
ベースから接着するDIYセットなら別ブランドでも付けることもできます。
ただこれだけで10000-12000円するわけで、セルフベイラーが高い理由が見えてきますね。
沈時のサイストラップの外し方
簡易スプレーデッキほどではありませんが、サイストラップを付けた時も脱出に少し手間が必要です。
両足を伸ばすと下からスッとストラップを外せます。
あとは足を上げれば真ん中のベルクロを外れて脱出できます。
沈した時はあまり意識をしなくても外れるのでスプレーデッキほど心配する必要はありません。
底の穴
右がバイキングです。
実はこの底に11個の穴が開いてます。わかりますか?
正解はこの11個でした。
船体横側と、荷重の掛かりやすい船尾側に開いてます。
他ブランドはただ穴が開いただけですが、バイキングの穴にはフラップ(蓋)が付いてます。
これは船底を平らにすることで水の流れをスムーズにしてスピードに影響が出ないようにするフラップです。
このフラップ、ぼくは逆流を防ぐものかと勘違いしてました。同じ誤解をする人も良そうですが、速度を上げるアイディアでした。
マットがあるので水が溜まってることも気付けませんが、マットをめくってみると10cm程度浸水してます。
浸水量は体重とのバランスで人によって、荷物によって変わりますが、上からジャバジャバ水が入ってきてもこれ以上の浸水が無いというのがセルフベイラーです。
バウロッカー
川下りを想定したバイキングは瀬や波、落ち込みを流せる形状の船首になってます。
それが持ち上がったロッカーが入った形状です。
実際に使い分けるポントやマイクロラフトよりも瀬に当たった時の衝撃が弱く受け流せてるのがわかります。
グラブループ
サイストラップを付けるためのパーツがあるのでグラブループ以外にも外付けできますが、グラブループは10個。
外側のみで前方4個、後方6個です。
一番後ろは特殊で真横についてます。ここにロープを通すことで持ち手なります。
全長が長いのでここが意外と便利。
長さと速度
今回乗った4艇の中で最も速いのがバイキングでした。
もちろんすべてスケグを付けた状態でです。
とは言ってもパックラフトなわけで、そこまでの違いも無く全てが遅いわけですが。
それ以外の要素も大きいですが、パックラフトに関わらずカヤック全般の速さは長さ×細さで決まるはずです。
ポント(254cm)よりも15cm長いだけのバイキング(269cm)ですが、それでも確実に速いのを感じることができました。
川下りも強いし、湖や海と言った静水も強いので水上においては4艇中最強のパックラフトと言えます。
この4艇から川下り行くときでも、湖に行くときでも間違いなくバイキングを選びますぼくは。
420D生地
他モデルではチューブに210DナイロンTPUが使われますが、バイキングは420DナイロンTPUが使われています。
純粋に2倍の厚みであり、強度も同等に上がり、重量も増えます。
空気を抜いて触り比べると厚みの違いは何となくわかります。バイキングが確実に分厚いです。
MRSでは川下りに強いモデルでこの黒い強い生地が使われ、他にもAlligator 2S Pro(スプレーデッキ)で使われてます。
ところで黒い生地、日中にめちゃくちゃ熱を吸収してパンパンに膨らみます。
パックラフトでは聞いたことがありませんが、インフレータブルSUPでは熱膨張で破裂した話もあってやや神経質になってしまう気持ちがあります。
パックラフトでは珍しい黒にカラーテープの特徴的なデザインでかなりカッコイイですが、黒はやはり欠点もありますね。
ポントやマイクロラフトに比べ格段に川下りがしやすく、そして楽しくなるバイキング。
生地も丈夫で、セルフベイラー、5Pサイストラップ、豪華なバックレストと充実したモデルで川下りならベストバイパックラフトです。
しかし、4400gというパックラフトにしてはかなり重い重量がネックの一つです。
パックラフトを水遊びの手段として見るならこの重量は見逃せませんし、川下りを目的とした道具と見るなら重量は落ち込みで強くなるメリットがあります。
パックラフトの遊び方が川下りをメインにするかどうかが、バイキングを選ぶかどうかの決めてなるはずです。
ストレウス
MRSとの比較対象として出した元気商會の展開するパックラフトブランド グリフォンラフトのストレウス。
青字の実測が重要で、公式サイトでの内長は122cmですが乗った感じがMRSのどのモデルよりも広くておかしいなと測ったら138cmありました。ポント(135.5cm)よりもバイキング(136cm)よりも広かったです。
ストレウスは本題ではないので箇条書きで紹介。
・チューブが二気室でパンク時のリスクが軽減
・ステンレスDカンが20個付きで外付けしやすい
・バイキング以上のロッカー
・4モデル中一番広い艇内部
・MRSよりも大きなスケグ付き
という感じです。
似てるのはポントですが、方向性が違って比べにくいモデルだったりします。
まずスペック以上に広い艇内は内長138cm。
前方は細身になってますがそれでもポント同等かそれ以上に快適です。
ポント(91cm)よりも広い幅のストレウス(93cm)は漕ぎにくさを感じるほどで、パドルがDカンやパックラフトに当たることが多いです。
それが当たり前だと思ってたからMRSのパックラフトに乗った時に漕ぎやすさが別格でした。
長さは使いやすく、やや船尾が他よりも膨らみが小さめに見えます。
そして船首のロッカーはバイキング以上で、高い瀬も上手に受け流すことができます。
そのせいでオープンデッキで川下り余裕じゃんと勘違いしてたら、ロッカーの無いポントでは川下りが大変でストレウスの凄さを分からせられました。
ポントよりも船内への水が入りにくいのもロッカーがあってこそです。
ポントやマイクロラフトよりも船首形状は流水向きです。
座って足を伸ばした状態。
足先から20cm位余裕があります。この時点で内長122cmはおかしいだろと思い始めてました。
ポントよりも幅が広いため一番広く感じるのはストレウスでした。めちゃくちゃ広いです。
二気室といってもパンクしたら非常につらいことになるわけですが、それでも一気室よりはリスキーな遊び方に向きます。
例えば、自転車を積んだバイクラフティング。
例えば、海でのパックラフトフィッシング。
Dカンがたくさんあるので自作台などを付ける改造にも向いています。
探検家の店主が考えるだけあって様々な遊びにマッチするパックラフトな印象です。
ただロッカーが入りすぎてることもあって、スケグがあっても直進性は最下位。
スケグ無しでは直進してるのかどうかわからないほどに回転しまくります。
そのためかMRSよりもはるかに大きなスケグが付いてます。
MRSスケグをストレウスに付けたり、ストレウススケグをMRSに付けることもできる互換性がありました。
幅広く使えるオープンデッキで万人向きではありますが、MRSの3艇に比べると癖の強いかなり尖った艇で他パックラフトと比べにくい個性的な艇と言えます。
ストレウスは何でもしたい人で、パックラフトを冒険のツールとして使える人に向いた艇です。
個別にレビューをしてるのでそちらも参考にして下さい。
4艇を比較
ここまで長くなりましたが4艇を比較して終わりましょう。
全ての画像がタッチで高画質版。
スペック
今回の4モデルのスペック比較。
バイキング以外似たサイズ感に見えましたが、全長と全幅を見ると微妙に違ってきてるのがわかります。
長いほど早く、短いほど操作性が良くなります。
幅は広いほど安定性が上がり乗りやすく、狭いほど浮力は落ちますがクイックな動きがしやすく速度が上がります。
生地感
またバイキング以外で触れませんでしたが生地でも特徴が変わってきます。
本体生地は空気を入れる色の付いたチューブ部分のこと
ボトム(底)生地は空気を入れない最悪穴が開いても使える黒い生地部分のこと
わかりやすく“〇D〇㎜厚ナイロン”で記載してますが、全く同じ生地なわけはありません。
数字だけ見た生地的な強度順にするとバイキング>ストレウス>マイクロラフト>ポントです。
ストレウスが二気室なことを考えても同様の評価ですがやや特殊。
パックラフトで一番値段に直結する部分とも思える生地であり、こだわり抜いた相当グレードの高い生地を使ってるはずです。
逆に言えば値段の安いブランドほど生地グレードを下げてることでコストダウンしていることが予想されます。
アルパカラフトはベクトラン生地を使ったナイロン生地を、ココペリはアラミド繊維を使ったナイロン生地を使っています。
日本語では“ナイロン”と表記されていても詳細は全然違うなんてことがあるようです。メーカーが違えば全く同じ生地表記でも違う生地というわけです。
実際ストレウス本体210D生地よりもバイキングの420D生地のほうがしなやかでした。ただ厚みはあるという感じ。
わかりにくくレインウェアに例えると、ストレウスがゴアテックス3レイヤーだとすると、バイキングはミレードライエッジティフォン、という感じです。ストレウスはゴアゴアバリバリで収納しにくく折り目がつきやすいです。
ウェア的にはソフトシェルのようにしなやかなほうがアイゼンやピッケルが刺さりにくいと言いますが、パックラフト的にはしなやかなほうが岩に当たった時に受け流しやすいように思います。
実際どうなんでしょうね。
収納サイズにも関わっていて、ストレウス(2800g)よりもポント(2900g)のほうが小さく畳むことができました。というかストレウスが小さく畳みにくいのです。
本国公式サイトでは少し詳しく書いてあったので一部翻訳して抜粋。→MRS Materials
先ほど出した表と微妙に違う部分もありますが、まあそんな感じなのでしょう。
高強度という表記と、滑らかな表面、耐擦傷など特殊な加工をした生地を使ってることが分かりました。
そんな生地もパックラフトらしくカヤックでは行けないような場所を目指すなら強度よりも軽さに重点を置くべきでシンプルさが武器です。
そう考えると
ストレウス→軽量シンプルのアクティブ冒険タイプ
ポント→軽量シンプルな静水向き冒険タイプ
マイクロラフト→簡易スプレーデッキで静水流水両用のアクティブタイプ
バイキング→ガンガン川下りをできる静水でも速いタイプ
こんな感じの用途なのが見えてきます。
ストレウス、ポント、マイクロラフトで言えば買って失敗したと思うことはないパックラフトらしいパックラフトで万人向きです。
バイキングはバックパックに入れて持ち運ぶことが多い人には向きませんが、水上に出せば無双できる艇。
サイズ
身長161cmのぼくと195cmのパドル。
安定性の高いストレウスとポント。
簡易スプレーデッキでマルチに使えるマイクロラフト。
川下りに向き、速度の速いバイキング。
ストレウスとバイキングは船尾がやや広く、船首が細身なデザインですね。
ポントは全体的に広く船首も広め。
マイクロラフトは全体的に細身ですね。
これが静水用や流水用と言われる形状の違いです。
とはいえ向き不向き程度であり、行ける行けないではありません。
乗り心地
見た目ではストレウスとポントが同程度に見えます。
マイクロラフトは狭いですね。
バイキングはポジションが他とは違うのが見てわかります。
ちなみに体感では、ストレウスはチューブが太く感じて、側面が高く感じました。
それが漕ぎにくい理由にもつながってそうです。
今気づきましたが、ストレウスが黒いブロックがあってわかりにくいですがシーム部が5本。MRSは全モデル4本です。
ストレウスの真ん中にあるシームに爪が引っかかって血を見たこともあるので省いて欲しいと思っちゃいます。正直それさえなければストレウスの評価が爆上がりします。
船尾形状はストレウスとマイクロラフトがやや小さめ、次いでポント、バイキングという感じでしょうか。
ストレウスが小さいのと、バイキングが大きいのは一目でわかりますね。
船首形状
船首(バウ)の形状。
バイキングが厚みのある感じでロッカーがあるのに対して、ストレウスは細くなってロッカーが上がってます。
ストレウスはロッカー付きすぎてボトムの黒い生地が見えてます。
これが水上に出ると人が乗って後ろ荷重になるためさらに持ち上がってきます。ほぼウィリー状態とぼくは言ってます。
ポントとマイクロラフトを比べても微妙に違います。
やや丸みのあるポントと角ばったマイクロラフトです。
正直ほとんど差が分からないレベルですが、体感では「なんだかマイクロラフトのほうが瀬に強い気がするなあ?」程度でした。
でもまあ微細な違い過ぎてよくわかんないのが本音ですね。
グラブループ・Dカン
Dカンが大量に付いたストレウスを最初に使ってしまったのもあってMRSのグラブループは非常に使い勝手が悪く感じてしまいます。
パックラフト的にはMRSで普通なわけで、ストレウスが異端児なわけですが、やはり便利です。
ただ使い勝手の良いDカンが正義ではないようで、耐久力の低いパックラフトにはDカンを付けると強度的にDカンよりも先に本体生地を引き裂く可能性があるとのこと。
その証拠にモンベルが代理店をするココペリでは軽量モデルではグラブループが採用されてますが、高強度モデルではDカンが使われてました。
そのためDカンではパックラフトが壊れる最悪の事態も想定されるということで、一考の余地はありそうです。
それでもDカンが便利だなと思えば1個1500円で別売りされてるものを付けてもいいでしょう。
まとめ
前編のスペック編終わりです。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続いて実乗艇編に行くわけですが、かなり長かったしちょっと休憩してからがいいんじゃないでしょうか。
内容的には1記事の内容で、普段は記事を分けたくないんですが、さすがに長げえわと思って分けてみました。
後編もよろしくお願いします。
MRSの急流向きスプレーデッキ艇Alligator 2S Proもレビューしてます。
100艇以上のパックラフトをスペックで比較できる記事も合わせてどうぞ!
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コメント
ロデオ系のピラニアに乗っていましたが、50肩をやってから御無沙汰してます。軽い艇で気軽にサーフィンを楽しみたいとネットサーフィンしてたら貴殿のこの記事に撃沈。
懇切丁寧な情報発信に感謝敬服です。
①ロブフィンs②mrsバイキング中古③アリゲーター2s④アリゲータープロの順で検討するも、た高い!!アリゲーターに穴空けセルフベイラー(可能?)でスプレーカバー無しではどうだろうか?と考えています。171センチ、64キロ、69歳、そりまち、と申します。アドバイス頂けると幸いです
ソリマチ様
長い記事を読んでいただきありがとうございます。ぜつえんです。
あまり力に慣れなくて申し訳ありません。よりパックラフトが身近になるように発信に力を入れていきたい限りです。
今後ともよろしくお願いいたします。