こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
クッカーと聞くと深型クッカーを想像しがちですが、浅型フライパンに慣れるとフライパンだけでいいやと思ってしまう汎用性の高いクッカーだと思っています。
そしてアウトドア用フライパンメーカーと言えばエバニューですね。まちがいねえな。
そんなフライパン屋さんのエバニューがありそうでなかった焚き火で使いたくなるタフでワイルドなフライパンを出してきました。
今回は一生モノのフライパン HD. ALU Pan 18をレビューしながらアルミパンの話をしていきます。
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HD. ALU Pan 18/EBY634
購入したのは直径18cmの大きめサイズ。
スペック
サイズ | Φ18×4.5cm |
厚み | 2mm厚 |
素材 |
アルミニウム(アルマイト加工)
|
重量 | 257g |
実測満水 | 約1150ml |
ハンドル | 147×20mm ステンレス 37g |
本体実測重量は272.1g、ハンドル37.9gとやや重め。実測総重量は310gです。
18cm径のフライパンが310gって言われて軽いか重いかも難しいですね。
ところでHD. ALU Pan(エイチディーアルパン?)の名前が文字で打ちにくいんですよね。
ぼくはHDパンって呼んでます。HDはヘビーデューティ(Heavy Duty)の略で、頑丈なや酷使に耐えるという意味です。
見た目
セットは箱・フライパン・ハンドルの3つのみで非常にシンプル。
最近のエバニューは以前とは違う化粧箱を使うようになりましたが、FSC認証付きのリサイクル素材で作られていてデザインも簡素化し、環境に配慮しているとのこと。
FSC(森林管理協議会)とは・・・
責任ある森林管理を世界に普及させる国際団体。持続可能な自然資源の利用に取り組んでいる。
そういえばアルミ鍋の使用上の注意も入ってました。
HDパンは日本製のアルミを日本の職人がヘラ絞りで作っています。
1枚のアルミ板を機械で回しながらヘラで押して成型していく技法です。
ヘラ絞りは手作業で作る必要があり、熟練した技術が必要で値段の高さも納得できます。
表面にあるキレイな丸い跡はヘラ絞りの証拠なのでしょう。
底面。こちらはツルツル。
ハンドルを差し込む部分にブランドロゴとMADEINJAPANの文字が刻印されています。
フチが丸くもなってない板を曲げただけな形状も珍しいです。
もちろんバリは一切無し。
ハンドル
ハンドルは中間が歪曲して先端がV。
ステンレス製で強度は高く力を入れても曲がる感じもありません。
2ヶ所に穴が開いてますがなんでしょう。
エバニュー公式画像ではハンドルにパラコードを巻いてました。
手で握りやすい形状。
下から差し込んでフライパンを持ち上げることができます。
隙間がやや広めにとられてるので、サクッと入り、サクッと抜けます。
刺してから手を振ればカタカタズレる程度のフィット感です。
上からも刺さりますが抜けやすくなります。
良い感じに荷重がかかって傾けても意外と抜けません。
ただ手の感覚としては抜けそうで不安の出てくる角度。
ゆっくり荷重をずらしていけば逆さまもできます。
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HD. ALU Panの特徴
HDパンならではの特徴がいくつかあります。
2mm厚アルミフライパン
一番の特徴は2mmの厚みがあること。
薄いクッカーに比べ、高い強度、均一な熱伝導、焦げ付きにくさなどに優れます。
一般的にアウトドア用クッカーは軽量コンパクトが優先されるため薄くして軽く作られます。
トランギアのメスティンで0.8mm厚です。
一般的なアウトドアフライパンも1mm前後なのでしょう。
それに対してHDパンは2mmです。アウトドア用と比べると極厚です。
自宅用のテフロン加工フライパンで3mm前後、雪平鍋は1.5~2.5mm程度。
なので雪平鍋みたいな厚みを認識するとわかりやすいです。
厚みは薄いアルミ鍋に比べて一点集中な加熱もされにくく、全体に均一な熱が加わりやすいメリットにもなりますね。
表面コーティング無し
そして表面コーティングがされていないこと。
テフロン加工といった表面の焦げ付き防止加工がされていないわけです。つまりはめちゃくちゃ焦げ付きやすいです。
ただし表面加工の欠点である剥がれると寿命という縛りが無くなるわけで、大げさにいえば穴が開くまで使い続けられるわけです。
アルマイト加工はされていますがアルミの強度を上げるモノで焦げ付き防止効果はありません。
取り外し可能な差し込み式のハンドル
フライパンの取っ手は取り外し可能な差し込み式。
取っ手無しなフライパンだと別に鍋つかみが用意されていることが多いですが、HDパンは専用ハンドルがあります。
取っ手無しよりは取り外し可能という表現が良いかなと思ってます。
折りたたみ取っ手に比べ、収納しやすい、剛性が高い、別の鍋つかみも使える、壊れにくい(壊れても取替えやすい)といったメリットがあります。
デメリットは無くしやすい、付けたままで安定しにくいことですね。
HDパン的には強さに極ぶりしてるように思えます。
一生使えるアルミフライパン
・2mm厚
・表面コーティング無し
・取り外しハンドル
この3つからわかるのは「壊れないからタフに酷使しろ」ってことで、つまりは一生モノです。
表面加工鍋では躊躇する焚き火に突っ込んだ調理なんてHDパンが最も得意とする調理方法です。
キャンパーの物欲を刺激するモノづくり、カタログページでのアピールの仕方がたまらなくてさすがエバニューさんだぜって思います。
比較的軽量
アルミだからまあ軽いです。
(焚き火に掛けて使うことを考えたステンレスや鉄のフライパンに比べると)軽いフライパン、という感じですけどね。
Φ18cm程度のフライパンと比べると表面加工されたアルミで150~250g、ステンレスなら300~400g、薄い取っ手無し鉄フライパンなら350~500g、スキレットなら1~1.5kg程度です。
なので取っ手無し257g+取っ手37gのアルミフライパン的には軽量ではありませんね。
それでも厚みや特性に違いはありますが焚き火でがっつり使うことを考えればかなり軽いフライパンです。
様々な調理に使いやすい形状
アウトドア用フライパンを使いだすと気付くんですよね。
「全部これでいいじゃん」って。
アウトドア用フライパンなら何でも良いわけではなく、側面が垂直に立ち上がった深いフライパンなら、で広口浅型というやつです。
エバニューULパン、ユニフレーム山フライパン、モンベルアルパインフライパン、プリムスライテックフライパンなどがそれです。
フライパンらしく口が広いので調理がしやすく食べやすく、深型で側面が垂直なので汁物にも使いやすい。
使うほどに「焼く」「炒める」「茹でる」「煮る」などあらゆる調理に対応できる理想のアウトドア調理器具であることを分からせられます。
そんなULパンで培ってきたノウハウを継承した焚き火でも使える万能調理形状フライパンがHDパンであると、そういうわけです。
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使用感と気付いたポイント
使った感想。
油多め、汁気多めを意識
表面コーティング無しのアルミフライパンを使う上で一番重要な焦げ付き防止。
焦げ付きを防ぐには油多め、水分多めを意識すると良いです。
また油多めや水分多めの調理ならストレス無く作りやすいです。
逆に油無しで焼き料理はまずできません。
想像以上に焦げ付きにくい
想定外の誤算でした。
油を引いて焼いてみると想像以上に焦げ付きにくく、鉄鍋に近い印象を受けるほど。
おそらく分厚いアルミによる高温になりすぎない、均一に温まる、食材を乗せた時にすぐ冷えない、という部分が理由だと思います。
メスティンなどの薄いアウトドア用アルミクッカーをイメージしていたので、加熱され方と焦げ付きにくさのギャップに驚きました。
正直思ってたよりもはるかにかなり使いやすいフライパンですでに1軍入りです。
汚れの落とし方
油や水分を増やしてもアルミフライパンで焦げ付きは避けきれません。
焦げ付いたときの落とし方。
フライパンに水を入れて沸騰させて数分ブクブクさせて焦げを浮かせます。
数分沸騰させればある程度の焦げ付きは落ち切ります。
最後にウェットティッシュなどで擦って落とします。
新商品のULクリーナーを使うのもアリです。
汚れを吸うというよりは擦り落とす系のクリーナーでした。
油ものと他で使い分けられるように2個+袋で7gと軽量です。
ただ側面やハンドルを取り付ける金具の内側は落としにくいです。
現地ではこの程度は許容範囲かなと思います。
スープ系で落とす
お湯で焦げ付きを落としても水分が無駄になってしまいます。
なら有効活用しようぜ、という案。
この日の食事はアクアパッツァ→肉やウィンナーを焼く→フォーでした。
前半に焦げ付きやすい調理を、最後に汁物で焦げを落としつつうま味として活用する作戦です。
これはかなり有効でした。
締めに焦げ付いた汁を使えるスープ系や麺類などを用意しておくと焦げ落としが一気になるのでオススメです。
温まりやすく冷えやすい
アルミは熱伝導の高い金属です。
そのため2mm厚でも素早く加熱が始まり、火からおろせばすぐに冷めていきます。
それでも薄いアルミクッカーと比べると蓄熱性は高くて加熱されにくく、冷えにくいのはわかります。
全体が均一に温まりやすいので焚き火では薄いアルミよりも調理はしやすく感じます。
奥側だけ焦げ付きやすい
ハンドルの差し込み口が片方にしかないので焚き火台で調理すると奥側が焦げ付きやすかったです。
ぼくの癖とかもあるのかもしれませんが、大きめの焚き火台で手前側に置くとフライパンの奥が焚き火台の中心になって高温なりやすいからです。
分かっていれば対策できるので意識はしておきたいところ。
湯切れが悪い
湯切れはかなり悪め。
コーヒーを入れるのは無理。カップ麺にお湯を入れるならギリギリ行ける程度。
エバニューのチタンもアルミも湯切れの良いクッカーが多いのでちょっと残念でした。
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どこで使うのか
表面コーティングの無い分厚いアルミフライパン。
使い方以上に難しく思うのが“どこで使うのか”だと思います。
表面コーティングが無し、一般的なアウトドア用フライパンに比べて重いので登山には向きません。
キャンプなら鉄やステレンスのほうが使いやすく美味しく料理ができます。
特徴から考えると「焚き火料理をする」と「バックパックでの移動」
この2つが混ざった遊び方をする時に活躍するのがHDパンです。
考えるに、宿泊を含む沢登り、移動距離の長いバックパックスタイルでのキャンプ、源流寄りな渓流釣り、くらいかなと思います。
ぼくは渓流釣りでの使用がメインで、キャンプでも使おうかなと考えています。
正直使い勝手の良いフライパンではなく、用途は限定的で万人にオススメは絶対できません。
いつ使うかは一度考えてから買うべきフライパンです。
周辺アイテム
合わせて用意したい周辺アイテム。
収納袋
メッシュの袋すら付いてこないので自分で用意する必要があります。
焚き火で使う鍋は煤が付いてるのでメッシュポーチに入れたくないと思ってます。
ぼくはとりあえず100均のポーチを使ってます。
やや生地が厚いので煤の付いた底をつかみたくない時に挟んで持てます。
食事の時は膝の上にポーチを乗せた上に鍋を置くこともできます。
純正X-PACポーチの16cmを持ってますが値段の価値は見いだせない微妙さでした。
フタ
無くてもいいんですがあれば便利なフタ。
16cmのは持ってますが18cmは持ってないので悩んでます。
16で使い勝手が良かったので純正が欲しい所。
モンベルがフタを単品売りし始めたのでこちらも安くて良さそうです。
鍋つかみ
フライパンのフチが丸くなっていないためか鍋つかみではHDパンをつかみにくかったです。
つかめるけどちょっと強い力が必要、という感じです。
鍋つかみを試すと専用ハンドルが少ない力で持ち上げやすいことがわかりました。
サイズの選び方
HDパンは直径で14、16、18、20cmの4サイズがあります。
14=ソロで具の少ない調理やサブメニュー
16=ソロで使いやすいサイズ
18=ソロで食材の多い調理をするサイズ、デュオのサイドメニュー
20=ソロだと大きすぎる位のサイズ、大きな食材の調理に向きそう
ざっくり用途的にはこんな感じ。
ソロで使うなら16cmが確実。こだわりがあれば14や18にするといった選び方になるでしょう。
ぼくは16cmはもっと軽く使いやすい表面加工フライパンを使い、ゆったりと焚き火調理をしたいときにHDパンを使おうと考えて18cmを選びました。
HDパンを使うシーンは徒歩移動でも山登りではなく、釣りやキャンプでの平行移動が多いためオーバーな軽量化は不要というぼくの遊び方にも依存してます。
実際、具材多めの調理でたくさん食べる人なら18cmのほうが便利です。
少しの軽量性や収納性を気にしないならソロでも18cmが快適。ワンディッシュ調理で具材つぎ込むタイプや冬キャンで汁物を作るならなおさら大きいのが活躍します。
追加購入した14cmはソロでもやや小さめで、具のほぼ無いインスタント麺とかツマミを作る用ですね。カタログにはアヒージョだって書いてました。
個人的に重量で選ぶなら別のフライパンを選ぶので、収納性と食事スタイルで決めてくという感じが良いと思います。
重量を気にして小さいの買って重いし使い勝手悪いしと出番が無くなるよりはワンサイズ大きくして、他フライパンと差別化したほうが活躍すると考えました。
#14 | #16 | #18 | #20 | |
直径 | 140㎜ | 160㎜ | 180㎜ | 200㎜ |
深さ | 40㎜ | 45㎜ | 45㎜ | 50㎜ |
重量 | 163g | 207g | 257g | 328g |
ハンドル | 37g | 37g | 37g | 37g |
金額 | ¥6,050 | ¥6,600 | ¥7,150 | ¥7,700 |
用途 | サイド~ソロ | ソロ | 大きめソロ~デュオ | デュオ |
14も購入
18が良過ぎたので、小物を作りやすく取り回しの良い14も購入しました。
沢山食べる人には物足りないサイズですが、簡単な1食なら十分作れる、という大きさです。
頑固な焦げ付きの落とし方
焦げ付きは沸騰させる→拭く→自宅に帰ってから洗剤で落とす、のが基本です。
使っていくと写真のように黒ずんでくるのもアルミの特徴ですが、焦げ付きと同様に落とすことができます。
ただ沸騰でもスポンジに洗剤を付けても落ちにくい頑固な焦げ付きもあると思います。
そんなときはお湯を入れて沸騰させて弱火で煮詰めてから、スポンジで洗うと楽に落とせます。
アルミはアルカリ性に反応して黒ずみがでるので重曹はNG。
チタンや鉄に比べ、柔らかいアルミは金たわしもNGとされます。
ぼくは面倒なことは考えず金たわしを使っちゃいます。傷ついてもまあ味かなと。
ただアルマイト加工にもダメージを与えやすいことは意識しておきましょう。
ボンスターの金たわしは細かいスチールウールで傷つきにくく、洗剤が入ってるため使いやすくオススメです。小分けで使い捨てやすいのもGOOD!
そもそもアルミフライパンって
これは蛇足。
アウトドアでは見かけますが表面加工のされてないアルミフライパンを日常的に使う人ってレアだと思うんですよ。
というのもここまで書いてきた通り焦げ付きやすくて使い勝手が悪いからです。
それでも重宝される場面があります。
パスタのソース作りです。
表面が銀色のアルミフライパンは色の変化が分かりやすく、水と油を分離しないように混ぜるのが乳化などです。
パスタ作らない人でアルミフライパンを使う人って本当にレアだと思うんですよ。僕は使いませんし。
火力の調整がしにくいアウトドアの焚き火調理では表面加工されたフライパンが向きませんし、軽量性を求めると多層コーティングも向かないため自宅用フライパンよりも耐久力が低くなります。
だから焚き火で使う軽量鍋がコーティング無しアルミになるのはわかります。
ただし自宅ではパスタ以外で使わない程度に使い勝手が悪いモノであるもので、アウトドアでは使われ続けてるのはどうなのかなとずっと思ってる気持ちがあります。
HDパン買っといて言うことでもありませんが、使いづらい一生モノの鍋よりも使いやすい数年で寿命がくる表面加工された鍋のほうが多くの人が幸せになれると僕は思ってます。
アルミフライパンと焦げ付き
さらに蛇足です、アルミフライパンと焦げ付きの話。
メスティンしかり、HDパンしかり、焦げ付きやすいわけです。スキレットとか鉄鍋もですね。
では焦げ付きの原因はなんぞや。
ずばり、タンパク質と金属の化学反応が焦げ付きの原因です。
食材に含まれるタンパク質が約50-70度になると金属とくっつく化学反応を起こします。これを熱凝着と言います。
約70度より高温になるとくっつきにくくなります。
食材を入れる前にフライパンを予熱しておくのはというのは、この焦げ付きやすい約50-70度を早く避けることができるからです。
そしてタンパク質の多いモノほど焦げ付きやすい傾向にもあります。
表面(テフロン等)加工された鍋は金属ではなく、加工面が食材に触れるためタンパク質が化学反応を起こしにくくなるため焦げ付きにくいのです。
表面にコーティングがされてない鍋では油を使うことで金属と食材を離します。
鍋をしっかり予熱し油を多めに引くことで焦げ付きにくくするのです。
油は加熱すると流動性が上がり、まんべんなく広がる理由もあります。
水分の多い調理でも食材が浮いたり、食材と鍋の間に水分が入るため焦げ付きにくくなります。
逆に表面加工されていれば油無し予熱無しでも焦げ付きにくいわけです。
鉄で焼いた肉や炊飯のおこげなどで起こる表面の茶色い焦げはメイラード反応と言い、うま味成分です。
メイラード反応よりも高温の真っ黒な焦げになると炭化になり臭みと苦みに変わります。
表面加工されたフライパンでは気にしなかった“焦げ付き”を意識することがHDパン含め表面加工されてない鍋を使いこなす近道です。
そんな“使われる”ではなく“使いこなす”楽しみもHDパンの魅力だと思います。
まとめ
万人向けではありませんし、軽量フライパンが欲しい人にも向きませんし、キャンプなら鉄フライパンのほうが美味しく使いやすいし、焦げ付きやすいので登山用途にもオススメできません。
2-3年使える軽量フライパンが欲しいなら断然ULパンがオススメです。
ただし軽く、長く、雑に、タフに、カッコよく焚き火調理で使うことを考えたときに非常に魅力的なフライパンであることは間違いありません。
10年後も使い続けられるフライパンが欲しいなら間違いなく買いですよ。
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